
第1章:実は身近な株の世界
みなさんは「株」や「株式投資」という言葉を聞いて、
どんなイメージをお持ちになるでようかますか?

「難しそう」
「リスクも高そうだし」
「自分には関係ないネ!」
と言った風に、遠い世界の話の様に感じる方も多いでしょう。
しかし実は株式投資は私たちの日常生活に、密接に関わっているのです。
例えば私達が何気なく通っているコンビニやスーパーの多くが、
そもそも株式会社として運営されています。
そんな私たちが日常的に利用しているお店の、
一部を所有することができる……というのが、株式投資の基本的な考え方です。
株を保有すると、その会社の「株主」となります。
会社の成長とともに、株主は利益を得られるのです。
まず、配当金を受け取ることができます。
配当金とは、会社が利益を上げた際に、
その一部を株主に分配するお金のことです。
例えば、1株1,000円の株を100株持っていて、
1株あたり20円の配当が出れば、
年間2,000円の配当金を受け取ることができます。
次に、株価が上昇した際の利益があります。
これをキャピタルゲインと呼びます。
例えば、1株1,000円で購入した株が1,200円になれば、100株持っていれば20,000円の利益になるわけです。
さらに、株主総会での議決権も手に入れることが出来ます。
これは、会社の重要な決定に対して、株主として意見を述べる権利のことです。
大株主でなくても、経営者に直接質問できる機会があるのです。
そして、多くの日本企業が実施している特別なサービスがあります。
それが「株主優待」です。

第2章:株主優待 ~日本独自の魅力的な制度~

みなさんは一頃テレビに出演されていた、
棋士で投資家の桐谷広人さんを覚えていらっしゃいますでしょうか?
1000社以上の株主優待を活用するため、日々ママチャリで爆走して生活している様子が話題になった、あの人です。
彼が使い切ろうとしていた株主優待とは、企業が株主に対して行う、
特別なサービスや商品の提供のことです。
例えば、自社製品の割引券や商品券、自社サービスの無料利用券などがあります。
この制度は日本独自のものであり、海外ではあまり見られません。
では、なぜ日本には株主優待があるのでしょうか。
その歴史は意外と古く、明治時代にまでさかのぼります。

日本で最初の株主優待は、1892年(明治25年)に神田汽船株式会社が行ったとされています。
同社は株主に対して特別な乗船サービスを提供しました。
その後、1899年(明治32年)には東武鉄道が、株主に対して乗車券を提供する優待を始めました。
これが現存する企業による最古の株主優待制度とされています。
大正時代から昭和初期にかけて、鉄道会社や百貨店を中心に株主優待制度が広がっていきました。
1933年(昭和8年)には、84社の優待一覧が記された資料が残っています。
戦後、高度経済成長期に入ると、株主優待は株価対策としての役割も担うようになりました。
多くの大手企業が魅力的な優待制度を競うようになり、個人投資家の関心を集めました。

2014年にNISA(少額投資非課税制度)が導入されると、株主優待を導入する企業が一気に増加しました。
1988年には126社だった優待実施企業が、2017年には1,331社にまで増加しています。
このように株主優待は日本の株式市場において、独自の発展を遂げてきた制度なのです。
では現在行われている、株主優待の具体的な例をいくつか見てみましょう。
株主優待の具体例としては、例えば日本航空(JAL)では、株主に対して国内線や国際線の割引券を提供しています。
また、サントリー食品インターナショナルでは、自社製品の詰め合わせセットを株主に贈呈しています。
このように、各企業がその特性を活かした優待を行っているのです。
さて、今回は特に、セブン&アイホールディングスの株主優待について詳しく紹介していきます。

第3章:セブン&アイホールディングス
なぜセブン&アイホールディングスを取り上げるのか、その理由は主に二つあります。
一つ目は、2024年8月から新たな株主優待制度が導入されたことです。
この新制度は多くの投資家から注目を集めました。

二つ目は、現在セブン&アイホールディングスがカナダの企業に買収提案を受けているという点です。
この状況が今後の株主優待にどのような影響を与えるか、多くの投資家が注目しています。
まずはセブン&アイホールディングスという企業自体について、詳しく見ていきましょう。
セブン&アイホールディングスは、日本最大級の流通グループです。
「セブン」はセブン-イレブンの「セブン」、
「アイ(i)」はイトーヨーカドーの頭文字を表しています。
しかし今やこのグループには、セブン-イレブンやイトーヨーカドーだけでなく、そごう、西武、ロフト……。デニーズやアカチャンホンポに至るまで、多様なブランドが参加しています。
日本全国に数多くの店舗を展開し、私たちの日常生活に深く根ざした企業グループと言えるでしょう。
では、セブン&アイの新しい株主優待制度について、具体的に見ていきましょう。

第4章:セブン&アイの株主優待
新しい株主優待制度では、
100株以上保有する株主に対してセブン&アイ共通商品券が贈呈されます。
金額は保有する株数と保有期間によって異なり、2,000円から3,500円分となります。
具体的な内容は以下の通りです:
100株以上3年未満保有:2,000円分
100株以上3年以上保有:2,500円分
400株以上3年未満保有:2,500円分
400株以上3年以上保有:3,000円分
700株以上3年未満保有:3,000円分
700株以上3年以上保有:3,500円分
この商品券は先に述べた、セブン&アイグループの多くの店舗で利用できます。
さらに商品券の代わりに、社会貢献活動団体への寄付を選択することもできます。
これは、国連世界食糧計画(WFP)への寄付となります。
WFPは世界最大の人道支援機関で、飢餓と貧困の撲滅を目指して活動しています。
株主がこのオプションを選択することで、企業の社会的責任(CSR)活動に参加できるのです。
と、ここで株主優待を受け取るための重要な概念である「権利確定日」について説明しましょう。
権利確定日とは、株主優待を受け取る権利が確定する日のことです。
セブン&アイホールディングスの場合、
権利確定日は毎年2月末(初回は2024年8月末)となっています。
この日までに株主として登録されていれば、優待を受け取る権利が得られます。
優待の贈呈時期は6月下旬頃です。
つまり2月末の権利確定日に株主であれば、約4ヶ月後に優待が届くことになります。

第5章:株を買おう!
と、優待を受けるプロセスまで知ったことで、

「よっしゃ!セブン&アイの株主優待をうけるぞ!」
というテンションになった方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そのためまずはもちろん、セブン&アイの株を買う必要があります。
というわけで、ここでそのプロセスを紹介いたします。
それを知ることで、自ずと株を買うとはどういうことなのか、基本的な事が分かるはずです。
株を購入するためには、まず証券会社で口座を開設する必要があります。
これは銀行口座を開設するのと似ていますが、株式の売買を行うための特別な口座です。
証券口座を開設したら、次はセブン&アイホールディングスの株式を購入します。
ここで重要なのが「単元株制度」という仕組みです。
この制度は、株式を一定数単位でまとめて売買することを定めたものです。
セブン&アイの場合、この単位(単元)は100株となっています。
つまり、セブン&アイの株を買う場合、最低でも100株から購入する必要があるのです。
これを聞いて驚かれた方もいるかもしれません。

「え?とりあえず100株も買わなければいけないのか?」
「なにが『株は意外と身近』だ!」
とお怒りになられても、無理もないでしょう。
セブン&アイホールディングスの株価は2024年11月2日現在、
1株あたりの価格は約5,000円です。
単元株数の100株を購入するとなると、50万円程度の資金が必要になります。
おいそれと出せる金額でないのは明白です。
「やっぱり株は敷居が高いんだ!」
と思われましたでしょうか?
しかしここで諦めないでください。
実は、より少額から投資を始める方法もあるのです。

「そういえば……株主優待が受けられるのも100株からだったじゃないか!無理だ無理!ふざけんな!」
という方も、どうか落ち着いてください。
小額から投資を始める方法の一つに
「新NISA(少額投資非課税制度)」の活用があります。
NISAは、年間の投資上限額の範囲内で、投資による利益が非課税になる制度です。
セブン&アイの株式も、この新NISAで購入することができます。
新NISAでは、つみたてNISAという仕組みがあり、毎月少額から投資を始めることができます。
例えば、毎月1万円ずつ投資していけば、5年後には60万円の投資額となり、セブン&アイの株式100株を購入できる可能性が高まります。
このように、一度に大きな金額を用意する必要はなく、
少しずつ積み立てていくことで、株主優待を受けられる株数に到達することができるのです。

第6章:変化する企業と私たちの生活
これまでセブン&アイの株主優待について詳しく見てきましたが、ここで重要な話題に触れる必要があります。

第3章の冒頭で触れた通り、現在、セブン&アイはカナダの大手コンビニエンスストア運営会社、アリマンタシォン・クシュタールからの買収提案に直面しています。
この買収提案は当初約5.7兆円でしたが、最近では7兆円規模にまで引き上げられたと報じられています。
これは日本企業に対する外国企業からの買収としては、過去最大規模となる可能性があり、日本の小売業界に大きな影響を与える可能性があります。
なぜこの買収提案が重要なのでしょうか。
それは、私たちの日常生活に直接影響を与える可能性があるからです。
買収が成立すれば日本特有のサービスや商品開発が変化する可能性があります。
一方で、この買収提案は株主にとっては株価上昇の可能性を意味します。
つまり、投資家にとっては潜在的な利益機会でもあるのです。
このような大きな変化の可能性は、私たちが投資について考える重要性を示しています。
株主として企業の一部を所有することは、単に金銭的な利益を得るだけでなく、私たちの日常生活に関わる企業の意思決定に間接的に参加することでもあるのです。

最初に株式は身近であると述べましたが、ある意味では身近を越えて、逼迫している、あまりにも我々一人一人に影響してしまう……
とも言えるのかもしれません。

総論:なぜ投資を身近に感じるべきか

日本は今、深刻な少子高齢化と人口減少に直面しています。
総務省の最新データによると、65歳以上の高齢者人口は総人口の29.1%を占め、さらに増加傾向にあります。
この状況は、年金制度の持続可能性に大きな疑問を投げかけています。
また日本銀行の調査によると、日本の家計金融資産の54.3%が現金・預金として保有されています。
これは、米国の13.3%、ユーロ圏の33.2%と比較して極めて高い割合です。
つまり、日本人は資産を増やす機会を逃している可能性が高いのです。
このような状況下で、私たちは投資を身近に感じ、積極的に取り組む必要があります。
なぜなら投資は単なる金融取引ではなく、私たちの未来を守り、社会の在り方にも影響を与える重要な活動だからです。
セブン&アイホールディングスの事例は、投資が私たちの日常生活といかに密接に結びついているかを示す絶好の例です。
私たちが毎日利用するコンビニエンスストアやスーパーマーケットの運営方針が、投資家の決定によって変わる可能性があるのです。
投資を通じて企業の一部を所有することは、私たちの生活に直接影響を与える決定に参加する機会を得ることでもあります。
だからこそ、セブン&アイホールディングスの株主優待について知ることは、投資を始める良いきっかけになるかもしれないと思い至り、ここで紹介した次第です
今こそ私たちは投資を身近なものとして捉え、自分の未来と社会の未来に積極的に関わっていく必要があります。
投資は身近で、身近であるがゆえに重要なものなのです。
この機会にあなたも投資を通じて、自分の未来や社会の未来に関わってみませんか?
