はじめに

「老後2000万円問題」や「NISA(ニーサ)」
といった言葉をニュースで耳にする機会が増え、多くの人が資産運用に関心を持ち始めています。
その中で「インデックス投資」という言葉が注目を集めていますが、その意味や仕組みがわからない方も多いのではないでしょうか。
今回は、インデックス投資について、
その基本的な概念から具体的な始め方まで、
初心者にもわかりやすく解説していきます。
ファンドとは何か
まずは基礎中の基礎として
「ファンド」という言葉についても確認していきましょう。
ファンドとは、簡単に言えば「お金の集まり」のことです。
より具体的に説明すると、特定の目的のために集められたお金の塊、
あるいはそのお金を運用する仕組みのことを指します。
例えば大学の同窓会で
「母校に図書館を寄贈するためのお金を集めよう」と呼びかけ、
卒業生から寄付を募る場合、
その集まったお金の塊も「ファンド」と呼ぶことができます。
およそ投資の世界では、
このファンドという言葉は主に以下の2つの意味で使われます。
1. 投資対象としての組織や事業体
この意味でのファンドは、
投資家から集めたお金を使って投資活動を行う組織や事業体を指します。
例えば、「ベンチャーキャピタルファンド」は、
新興企業に投資することを目的とした組織のことです。

具体的な例を挙げると、ソフトバンクグループが運営する「ビジョン・ファンド」は、世界中の革新的な技術企業に投資することを目的とした巨大なファンドです。
Photo: Rodrigo Reyes Marin/Zuma Press
2023年3月末時点で、約1,000億ドル(約14兆円)もの資金を運用しています。
2. 投資家から集めたお金を運用する仕組み
これは本項で最初に述べました通り、
多くの投資家から集めたお金を一つの大きな資金としてまとめ、
その資金を株式や債券、不動産などに投資して運用する仕組みのことを指します。
この意味でのファンドの代表例が「投資信託」です。
投資信託について
投資信託は多くの個人投資家から集めたお金を、
一つの大きな資金としてまとめたファンドが専門家によって、
資金を株式や債券などに分散投資する金融商品の事を指します。
例えば、1万円しか投資できない人でも、
1万人が1万円ずつ出し合えば1億円の資金ができます。

この1億円を使ってファンド、そしてその専門家が、
様々な企業の株式や国債などに分散投資することで利益を得ます。
この仕組みによって「投資をしようにも元手が無いよ!」
という人であっても小さな資金で幅広い投資ができる訳です。
投資信託の種類

さて、投資信託には、大きく分けて
「アクティブファンド」と
「インデックスファンド」
(パッシブファンドとも言う)の2種類があります。
アクティブファンドとは
➡経験豊富な専門家(ファンドマネージャー)が市場動向を分析して、
より高い収益が期待できる銘柄を選んで投資する方法です。
例えば、今後成長が見込まれる新興企業や、
業績好調な大企業の株式を中心に投資するといった具合です。
この方法のメリットは、
運用者の判断次第で市場平均を上回る高い収益を得られる可能性があることです。
一方で、運用者の人件費や調査費用などがかかるため、
手数料が高くなる傾向があります。
運用者の判断が外れた場合、大きな損失を被るリスクもあります。
インデックスファンド(パッシブファンド)とは
➡特定の市場指標(インデックス)の動きに連動することを目指す投資信託です。
「インデックス」とは、特定の市場全体の動きを表す指標のことで、
例えば日本の株式市場全体の動きを表す「TOPIX(トピックス)」や、
アメリカの主要企業500社の株価を反映する「S&P500指数」などがあります。
インデックスファンドはこれらの指標に含まれる全ての、
あるいは主要な銘柄を指標と同じ比率で保有することで、
市場全体の動きに連動した運用成果を目指します。
例えば、TOPIXに連動するインデックスファンドであれば、
東京証券取引所に上場している約2000社の株式を、
TOPIXにおける各企業の比率と同じように保有します。
これにより日本の株式市場全体の動きとほぼ同じ様に値段が変わるわけです。
実際の例としては
「ニッセイ外国株式インデックスファンド」という商品があります。
これは、世界の主要国(日本を除く)の
株式市場全体の動きに連動することを目指すファンドで、
2023年10月末時点で約1,700億円の資産を運用しています。
インデックス投資の魅力
本記事ではこのインデックスファンドへの投資、つまりインデックス投資を、
投資をこれから始めてみようという方への、イチオシ投資法としてお勧めしたいと思います。

インデックスファンドには多くの魅力がありますが、
・低コスト・ わかりやすさ ・分散投資効果 ・運用の手間
という四つのポイントについて、それぞれご紹介いたします。
まず第一の魅力として【低コスト】であることを取り上げましょう。
インデックスファンドは市場全体に連動して運用されるため、
運用にかかる人件費や管理費用が低く抑えられます。
例)大手運用会社によるTOPIX連動型インデックスファンドの場合、
その年間運用コスト(信託報酬)は約0.1%程度ですが、
アクティブファンドの場合は1%以上になることも珍しくありません。
このコスト差は長期的な投資において大きな影響を及ぼし、
同じ投資額であれば低コストのファンドを選ぶことで、
最終的なリターンが大きく変わる可能性があります。
次に【わかりやすさ】があります。
インデックスファンドは特定の市場指標に連動するため、
自分がどれだけ利益や損失を出しているかを一目で把握しやすいです。
例)日経平均株価やS&P500といった指標はニュースでも頻繁に取り上げられるため、
自分の投資状況を確認しやすく、安心感を持って投資を続けることができます。
さらに【分散投資効果】も重要です。
インデックスファンドは自動的に多数の銘柄に分散投資されるため、
一つ一つの企業リスクが軽減されます。
例)日本株式市場全体に連動するTOPIX連動型インデックスファンドでは、
およそ2000社以上への分散投資が実現されています。
このため、一部企業が不調でも他企業によってカバーされる可能性があり、
リスク管理がしやすいと言えます。
国内株式のみでポートフォリオ(資産の組み合わせ)を持っていた場合、
特定の企業の株価が大きく下落すると、
その影響で全体のパフォーマンスが悪化します。
しかしTOPIX連動型インデックスファンドの場合、
約2000社の株式に分散されているため、
一部の企業の不調による影響は相対的に小さくなるでしょう。
最後に【運用の手間が少ない】という点も挙げられます。
個別銘柄選択や頻繁な売買が不要なので、忙しい方でも手軽に始められます。
購入後は長期保有するだけで良いため、時間と労力も少なく済ませられるでしょう。
このような特性から、初心者でも安心して投資を始めることができるのです。
以上、四つの魅力をご紹介いたしましたが、
インデックス投資には注意すべき点も存在します。
それは市場平均以上の収益は期待できないということです。
インデックスファンドは市場平均と同程度しか得られないため、
大きな利益を狙うことは難しいです。
また市場全体が下落すると、その影響を受けて価値も下がります。
このようなリスクについて理解した上で、
実際にインデックス投資をやってみるかどうかは、
自身のリスク許容度などと照らし合わせて、慎重に検討することが重要です。
実際の投資の仕方
では、ここから
「メリットもデメリットも理解したうえで、
自分はインデックス投資をやってみたいぞ!」という方々に向けて、
インデックス投資への具体的なアプローチの仕方について説明します。

①目的の明確化
まずは自分自身の目的を明確にしましょう。
老後資金作りなのか、お子さんへの教育費なのか、それとも将来の資産形成なのか。
目的によって選ぶべき商品や戦略は異なります。
目的を明確にすることで、
どのインデックスファンドが最適かを判断しやすくなります。
②リスク許容度の評価
次に、自分自身のリスク許容度を評価します。
これは、投資による損失をどの程度受け入れられるかを判断するものです。
気持ちの問題ではなく、年齢、収入、資産状況、投資期間などなど……
さまざまな判断基準を踏まえて、ご自身のリスク許容度を明らかにしましょう。
③投資対象の選択
インデックス投資の対象を決定します。
いくらか繰り返しにはなりますが、インデックスファンドには、
日本株式市場に連動するものや、
アメリカのS&P500指数に連動するものなど、さまざまな選択肢があります。
特に人気のある「eMAXIS Slim 米国株式」は、
アメリカ合衆国の主要企業500社で構成されるS&P500指数に連動しており、
年間信託報酬が0.0968%と非常に低コストです。
④投資金額の決定
投資可能な金額を決めます。
生活に支障をきたさない範囲で設定することが重要です。
⑤証券口座の開設
選択肢が決まったら、証券口座を開設します。
多くのオンライン証券会社では、簡単にインターネットで口座開設ができます。
⑥ファンドの購入
いよいよ自分が選んだインデックスファンドやETF(上場投資信託)を購入します。
購入時には、一度に大きな金額を投入するよりも、
「ドルコスト平均法」を利用して、
毎月一定額ずつ積み立てていく方法がおすすめです。
この方法で市場価格によって購入口数が変わり、
高値掴みや安値売りといったリスクを軽減できます。
⑦定期的な見直し
投資を始めたら定期的に、例えば半年に1回ほどの割合で
ポートフォリオ=保有する金融商品の内訳を見直します。
必要に応じて資産配分の調整や新たなファンドの追加を検討します。

⑧税金対策
インデックス投資による利益には税金がかかります。
確定申告の必要性や、NISA(少額投資非課税制度)の活用など、税金面での対策も考慮しましょう。
具体的な銘柄としては何度か述べた「ニッセイ外国株式インデックスファンド」や
「楽天・全米株式インデックス・ファンド」などがあります。
これらはそれぞれ日本を除く先進国の株式市場全体や、
アメリカ全体の株式市場に連動することを目指しており、
多様な企業への分散投資が可能です。
一部証券会社では100円から積立設定できるサービスも提供されていますので、
お財布事情にも配慮しながら無理なく始めることができます。
まとめ

インデックス投資は多くの個人から集めたお金をプロによって運用し、その成果を還元する仕組みです。
この方法は特に初心者にも取り組みやすく、多くの場合低コストで運用できるためおすすめです。
ただし、市場全体が下落すれば価値も下がりますので注意も必要です。
少額から始め、自分自身に合った形で徐々に慣れていくことで、
安心して長期的な視点で運用できるようになるでしょう。
インデックス投資を通じて皆さんが、
豊かな未来を築いていけることを願っています。