1.はじめに

ベーシックインカムは、無条件に一定額をすべての国民に支給する制度です。
労働条件や収入に関係なく、基本的な生活を支えるための資金が支給されるという考え方は、多くの国で議論されており、実験的な試みも行われています。
ここでは、ベーシックインカムの下記の国での導入事例を取り上げ、それぞれの成果や課題について解説していきましょう。
- フィンランド
- カナダ
- スペイン
- ブラジル
- 韓国
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2.各国でのベーシックインカムの取り組み
2-1.フィンランド
フィンランドは、2017年から2018年にかけてベーシックインカムの試験を実施しました。
失業者2000人を対象に、毎月560ユーロ(約7万円)を支給するというものでした。
この実験は、受給者が新たな仕事を見つけるかどうかに加え、精神的・社会的な影響も測ることを目的として行われました。
実験の結果:
雇用状況に大きな影響なし:
ベーシックインカムの支給が就労意欲に与える影響はほとんどなく、労働市場への影響は限定的でした。

ストレス軽減と幸福度の向上:
多くの受給者が精神的なストレスから解放され、幸福度が向上したことが報告されています。
フィンランドの実験は、労働意欲を損なわずに受給者の生活の質を向上させる可能性を示しましたが、全国的な導入には至っていません。
2-2.カナダ:オンタリオ州
カナダのオンタリオ州では、2017年に約4000人を対象にしたベーシックインカム実験が始まりました。
個人には年間1万6800カナダドル(約140万円)、カップルには2万4000カナダドル(約200万円)が支給されるもので、低所得者層を主な対象としていました。
実験の結果と中止:
健康状態の改善:
受給者の健康が向上し、ストレスが軽減されました。
教育や就業の機会拡大:
支給により、教育や新たな就業機会を得ることができたという報告もありました。
政権交代による中止:
しかし、政権交代により約1年でこの実験は中止されました。新政権は、費用対効果の問題を理由にプログラムの継続を断念しました。
オンタリオ州の実験は、経済的安定が生活全体に与えるプラスの影響を示しましたが、財政的な持続可能性が課題として残りました。
2-3.スペイン:カタルーニャ州と全国的な取り組み
スペインでは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、2020年に低所得者層を対象とした「最低生活保障(IMV)」制度が全国的に導入されました。
これにより、約85万人の世帯が支援を受けました。
さらに、スペインのカタルーニャ州では、2022年から2024年にかけてベーシックインカムの試験が行われており、5000人を対象に毎月800ユーロ(約11万円)が支給されています。
実験の特徴:

所得に関係なく支給:
カタルーニャ州の試験は、受給者の所得にかかわらず支給されるため、広範な層に経済的安定をもたらすことが期待できます。
スペインは、コロナ禍での経済的支援の一環としてベーシックインカムに近い制度を導入し、これを社会保障の拡充策として発展させました。
2-4.ブラジル:地域限定の試み
ブラジルでは、2004年に「市民基本収入法」が成立し、全国的なベーシックインカム導入が法律で定められました。
しかし、実際の導入は地域や特定の層に限定されて行われています。
マリカ市では、貧困層を対象にベーシックインカムが支給されており、地域限定のデジタル通貨で受け取る仕組みが採用されています。
2024年には最貧困層を対象とした「ボルサ・ファミリア」が導入されました。
実験の結果:
地域経済の活性化:
支給されたデジタル通貨が地域内でしか使用できないため、地元経済の活性化にもつながりました。

貧困層の支援:
最貧困層を対象にした政策により、ベーシックインカムが一部の市民にとって重要な社会的支援となりました。
ブラジルでは、ベーシックインカムが特定地域や層に限定されながらも、社会保障制度の一環として機能しています。
2-5.韓国:京畿道の青年基本所得
韓国の京畿道では、2019年に「青年基本所得」という制度が導入され、24歳の若者に年間100万ウォン(約9万円)が地域通貨で支給される試みが行われました。
この制度は、若者の経済的負担を軽減し、地域経済を活性化する目的で設計されています。
実験の成果:
地域経済の刺激:
若者が地域内で使うことを促進するため、地域通貨として支給され、地元の消費が活性化しました。
経済的負担の軽減:
受給者は経済的な安心感を得て、生活の質の向上に寄与しました。
韓国のこの取り組みは、若者層に焦点を当てたベーシックインカムの有効性を示す事例です。
【メルカリ】3.ベーシックインカム導入における課題と展望

ベーシックインカムは、多くの国で議論され、いくつかの地域で実験が行われていますが、全国規模で導入されている例はまだありません。
これまでの実験や試みから、以下のような課題と展望が見えてくるでしょう。
主な課題:
財源の確保:

ベーシックインカムを全国規模で実施するためには、膨大な財源を確保しなければいけません。
税制の見直しや新たな財源確保が大きな課題になりました。
労働意欲への影響:
無条件の支給が労働意欲を損なうのではないかという懸念があります。
実験の結果では、大きな影響は確認されませんでしたが、長期的な影響はまだ明らかでありません。
物価上昇のリスク:
支給額が消費に直結し、物価上昇を引き起こす可能性も指摘されています。
ベーシックインカムのメリット:
貧困の削減:
最低限の生活費を保障することで、貧困問題を解消し、社会格差の是正につながるでしょう。
社会保障制度の簡素化:
複数の社会保障制度を統合し、手続きを簡素化できるかもしれません。
【メルカリ】4.まとめ

ベーシックインカムは、各国での実験を通じて、その効果や課題が検証され続けています。
現時点では、全国民を対象とした完全なベーシックインカムを導入している国はありません。
しかし、フィンランドやカナダ、スペイン、ブラジル、韓国の事例は、部分的な導入や特定の層への支給が社会や経済にどのような影響を与えるかを示しています。
今後も、この新しい社会保障制度がどのように進化していくのか、注目される分野であることは間違いありません。
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