ビットコイン物語:激動編(中編)

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前回までのあらすじ

2008年に謎の人物、サトシ・ナカモトに提唱されたビットコインは、2013年には電脳の金(と書くとなんか怖いな)
すなわちデジタルゴールドと呼ばれるほど資産価値が認めらました。

しかし、その成長は波乱万丈の運命の末、
度重なる乱高下と数々のリスクが潜んでいたのです。

そして2014年2月、世界最大級の取引所マウントゴックスが、
通算二度目のハッキング被害に遭いました。
果たしてビットコインはどうなってしまうのでしょうか!?
勿論、マウントゴックスは破産しました。

信頼の回復、新たな問題

マウントゴックス事件後、
暗号資産業界ではセキュリティ強化が急務となりました。

なにしろマウントゴックスは二回もハッキングされているわけですから。
少しばかりセキュリティが弱すぎました。
名前の怪獣っぽさだけなら大概の企業に負けないのに。
いや、そんなもの競う必要性は微塵もありませんが。

そんな中で頭角を現したのはヨーロッパの緑豊かな国スロベニアで、
2011年から稼働していた取引所、ビットスタンプです。
同社は透明性安全性を重視した運営を行っていました。
他の取引所も「ゴックスの二の舞にはなるまい!」と頑張ったおかげで、
市場の信頼回復も進んでいったのです。

こうして落ち着きを取り戻したビットコイン市場でしたが、
ここで新たな課題が浮上します。
それがスケーラビリティ問題です。

スケーラビリティ問題とはビットコインネットワークが、
増加する取引量に対応しきれなくなる状況
を指します。
ビットコインが取引データを記録する「ブロック」のサイズ1MBに制限し続けた結果、
送金遅延手数料高騰といった問題が発生しました。
つまり利用者が増えた結果、ビットコインのシステムは容量オーバーになったのです。
2017年ごろのビットコインは送金に何時間、何日もかかるなんてことがざらでした。
それに比例して、手数料も高くなっていき
「こんなもん使えるか!なにが通貨だ!」とキレる人もいたでしょう。
何とかしなくては、という話になるのは必然です。

技術をめぐる分裂

てなわけでスケーラビリティ問題を解決するため、
ビットコインの運営者たちは話し合いましたが、
意見は二つに分かれることとなりました。

☆シンプルに1ブロック当たりの容量を増やそう!
1MBから8MBまで拡大して、一度に処理できる取引量も増やすんだ!

という派閥と
☆小容量で小分けにしていたから管理できたんだぞ?
という派閥が発生したのです。

結果として維持派の意見が通り、
取引情報=トランザクションデータの内、
署名部分は違う領域に記録させるという技術的アップグレード
「SegWit(セグウィット)」が採用されます。
この技術を実行すればトランザクション展性
=署名部分の改ざんによる不正取引の問題
も解決できるとされました。

しかし増量派はどうにも納得いきません。
それに取引データの記録=マイニングを管理する大手組織ビットメインも、
「セグウィット使われると、うちのマイニング機材使えなくなるんですが?」
ということで反対していました。
マイニングとんでもなく複雑な計算が必要です。
そのためにはかなりの電力を食う専用マシンが必要で、
それをおいそれと作り変えたり、買い替えたりなんてはできません。

5月には署名記録を別枠にしつつ、
ブロックのサイズを二倍にした「SegWit2x」が提案され、
これならまぁ……という声も増えたのですが、
今度は現状維持派が
「ブロックサイズが拡大したら、セキュリティリスクに手が回らないよ」
「なーんか巨大化すればするほど、結局ビットコインも銀行同様、
中央集権みたいになるんじゃないかな……」

という声を挙げ、結局2xは立ち消えになりました。

こうした度重なる意見対立の末、2017年8月1日、
新たな暗号資産
「ビットコインキャッシュ(BCH)」が誕生しました。

既存のビットコインのブロックチェーン(取引記録台帳)から、
新しいブロックチェーンを作る「ハードフォーク」という手法
によって、
スムーズにBTC利用はBCHに移れたのです。

そうです。完全な分裂です。
歴史とか任侠ものとか、あとプロレスが好きな人には、
このような意見や思想の対立、イデオロギー闘争から生まれる分裂って、
ドキドキしはしませんか? しないのならスイマセン。

なんにせよ2017年。
サトシ・ナカモトの論文が発表された2008年から数えて10年目です。
節目だからということなのか、この年は色々なことがありました。

まぁ〇〇から数えて何十年という数え方は、
言い換えれば何からでも数えられるので、
ドラえもんの映画なんて短いスパンで〇周年記念作が作られて、
追っかけているとだいぶ混乱します。

追っかけて混乱するのは中々面倒なので、
この後の記事ではビットコインキャッシュには触れず、
ビットコインそのものの歴史を追い続けることを宣言しつつ、
2017年以降の激動を振り返ってみましょう。

回想の2017年、IOCの末路

分裂前の7月に、ビットコインの価格は更に急上昇していました。

これは2013年ころから始まっていた
「ICO(Initial Coin Offering=新規仮想通貨公開)」という、
新しい資金調達手法の流行が、ピークを迎え出したからです。

ICOは新しい暗号資産、仮想通貨のプロジェクトや企業が、
自ら発行するデジタル通貨=トークンを販売して資金を集める方法
です。
この手法によって多くの企業や個人が、
新たな独自デジタル通貨を作り出す
ことになりました。

ICOこれが人気になったのも、ビットコインが一般的に知られるほど、
成功したからにほかなりません。
ネット上に企画書や見積もりを発表して
「うちのデジタル通貨も資産価値が上がりますよ!
そう、ビットコインのようにね!」
と、
各人各企業が宣伝して、投資して貰う
わけですから。

そしてその投資の為の通貨事態、ビットコインが仕えるステムだったので、
自ずとビットコインの利用者もどんどん増えたのです。

結果として容量オーバーからの、スケーラビリティ問題。
そして分裂と相成った、というわけですが。

BTSとBCHの分裂後もICOビジネスは盛んだったため、
ビットコイン価格は上昇を続けました。
9月には5,000ドルを突破し、11月には7,000ドルを超えました。
そして12月にはついに史上最高値となる約20,000ドルを記録します。

しかしこの急騰も、一時的なバブルにすぎませんでした。
新しいことが始まるとすぐバブル、その後の暴投ばかりですね。
ここまでのビットコイン……。

2018年、冬の時代へ

2018年に入ると一転して、1月には1万ドルを割り込み、
2月には6,000ドル台まで下落
しました。

ここに至るまでビットコインは、
何度もバブルとその崩壊は繰り返してきましたが、
なまじ成長と一般化が進んでいたからか、今回のバブル崩壊は
『冬の時代』と言われるまでの大事とされました。

というのも2018年はビットコインのみならず、
後追いのデジタル通貨も含め、暗号資産市場全体の調子が悪くなった
のです。

先ず上記のIOCというビジネスがダメになったのが原因の一つです。
考えようによっては
「いずれ価値が上がりますよ!」
なんていってお金を集める
なんてことは、
典型的な詐欺師のやり口じゃないか!
と思ったそこのあなた、鋭い!
IOCは「実はウソでした♪」=詐欺だった事例が多かったのです。
多くの個人、企業がお金を集めても、新しいデジタル通貨を発行できませんでした
詐欺とは言わないまでもなにしろ新しい形式のことだったので
IOCを始めた個人にせよ企業にせよ「頑張ったけどダメでした……」
というパターンもありがちだった、という側面もあります。

約束を守れなかったり、そもそも守る気が無かったり……。
乱立したIOCの規格で、形になったのは半分程度という有様。
IOCに投資する為に、ビットコインに手を出そう!
なんて言っていた人たちも、撤退していくのが当たり前です。

更に2018年1月。

日本の取引所のコインチェックがハッキングされました。

NEMというデジタル通貨を約580億円相当も盗まれました。
なんとかすべてコインチェック自身が補完できましたし、
ビットコインとは直接関係のない話と言えるにせよ、
なにしろマウントゴックス事件よりもスゴイ被害額です。
「ハッキングされた」という事実は、
マウントゴックス事件を経てなおされてしまうということは、
「暗号資産全体が、なんだか怖い!危ない!」
というネガティブな再認識を、多くの人々に促したのです。

規制とその影響

こうした弱点や危険性が明らかになったことで、
多くの国々では暗号通貨への規制強化が始まりました。
特にICOについては詐欺行為も横行していたため、
その規制強化は避けられなかったわけです。

なかでも影響が大きかったのは、中国政府による厳しい規制です。

中国政府はIOCだけでなく、
暗号通貨そのものへの取り扱いも規制を開始しました。

この背景にはハードボイルドに言えば”汚い金”が、
犯罪がらみのお金の出所があやふやにされる、
いわゆるマネーロンダリングにあたって
・匿名性が高い
・銀行や政府と言った中央集権的な金融機関を介さない
という特徴を持つ暗号通貨はピッタリじゃないか!
と考えられたわけです。

ビットコインには有名になったきっかけの一つが、
ダークウェブ内で良くない薬と武器を売買する通貨になったこと……

という前科だってあるのです。
良くない薬はともかく良くない武器って、良い武器ってなんだよ!
みたいな話は本筋から外れることを今さら気にして触れませんが、
とにかく中国政府は暗号通貨の悪用を防ぐため、規制を強化しました。

また、中国は2011年ごろから自国通貨である暗号通貨
デジタル中国元の研究も始めていた
ので、
いずれそちらを普及させるため、とう側面も有ったかもしれません。

この規制がダメージになったのは中国にはビットコインの使用者、
あるいはマイニング技術者・業者が多かったこと
が一因です。
これ、次回のちょっとした伏線ですんで覚えていてください。

再生への兆し:2019年

そんな訳で2018年はIOCバブルの崩壊と、
中国をはじめとする国々で始まった規制で、
ビットコインはしょんぼりな雰囲気になったのです。

にも関わらず、早くも翌2019年には、
ビットコイン市場に回復の兆し
が見え始めました。
これまで通りの乱高下を短期間で繰り返す中でも、
この時期には明確な変化が訪れます。

2018年末には1BTC=約3,000ドルまで下落した後、
2019年4月には相場が一転して上昇し始めます。
そして6月には約13,000ドルまで高騰していったことから、
多くの投資家たちにも希望的観測が広まりました。

この急上昇はアメリカの金融サービス大手Fidelity(フィデリティ)
が機関投資家向けにビットコイン取り扱いサービスを開始した
ことや、
Bakkt(バックト)という暗号資産取引プラットフォームによる、
ビットコイン先物サービス開始
など、新しい動きによって支えられていました。

もっとも上昇は長かず、9月頃からビットコインは再び下降トレンドに突入し、
11月には中国政府が新たに、
更なる暗号資産取引を取り締まる新たな規制をスタート
させたことで、
1BTCの価格は約7,300ドルまで下落しました。

それでも、2019年全体としては回復基調にあったと言えるでしょう。
1年を通じての乱高下はあったものの、
『冬の時代』とまで言われたしょんぼり感はふり払われ、
ビットコイン市場に再び活気が戻ってきた年となりました。

次回予告

さて、再生の兆しを見せ始めたビットコインで須賀、
翌2020年には世界中が大混乱を迎えます。
そうです。パンデミックです。
果たしてあの未曽有の大混乱は、
ビットコインにどんな影響を与えたのでしょうか?
次回『ビットコイン物語:激動編(後)』では、
頃中から現代に至るまでの変遷を振り返ります!

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