はじめに

スマートフォンで、なんでもできる時代になりました。
友達と外食に行こう!と決めたとき、地図アプリさえ開けば場所の検索から、ルート案内、さらにはお店の予約まで、あらゆることがアプリ内で完結します。
タクシーの配車も頼めたり、
支払いもアプリで銀行から引き落とし、なんてことさえ可能です。
友達さえいれば、ですが。
しかし、ここで一つ考えてみてください。
どうしてそんなに簡単に、諸々スムーズに行くのでしょうか?
これにはちゃんと理由があります。
この便利さを実現しているのがAPIという仕組みです。
APIとはApplication Programming Interface
(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)の略です。
……難しい名前ですね?
なんだか悔しい。
友達がいない腹いせに、このAPIについて調べてみることにします。
APIとは?

APIは簡単に言うと、
異なるアプリやシステムが繋がるため、
情報を交換するための
「ルール」や「約束ごと」の事を指します。
そもそも上に挙げた例が、
何がどう便利であったのかをおさらいしましょう……。
……そう。一つのアプリで、様々なことが出来ることです。
地図アプリで検索、予約、配車、支払い……
つまり個のアプリはレストラン、タクシー会社、
さらには銀行のシステムと連携しているわけです。
しかしレストラン等々で使われるシステムやアプリ、
ソフトウェアは、それぞれ異なる企業や組織が作ったものですよね?
最初から直接やり取りできるわけでは無かったはずです。
これらをつなげるために APIという仕組みが必要なのです。
それぞれのソフトウェアに
「つながりなさい」「あんな風に・こんな風につながりなさい」
「つながるにあたって諸々ルールを守りなさい」
と、エンジニアが諸々プログラミングすることが
『APIを用意する』という事……だと言えるでしょう。
もしAPIがなければ、
アプリ同士が情報をやり取りする手段がなく、
データの交換には時間がかかり、非常に手間がかかってしまいます。
ふたたび冒頭の例をおさらいすると、
地図で探したレストランの詳細を、
検索サイトで更に調べて、
そうやって判明した電話番号に電話で予約。
タクシー会社にも別途予約し、支払いは直接に現金かカード……。
かつては当たり前だったとはいえ、
今となっては煩わしく、プロセスが多過ぎます。
しかし、APIがあることで、
アプリ間で情報をリアルタイムで交換し、
ユーザーにスムーズな体験を提供できるのです。
APIの使われ方
APIは異なるシステムが
「リクエスト(要求)」と
「レスポンス(応答)」を定めたルールです。
しつこく地図アプリの例を出しますが、
そもそも地図アプリそれ自体は、
レストラン情報を持っているわけではありません。
利用者が地図アプリに
「近くのレストランを教えて!」
とリクエストを送ったとします。
このとき、地図アプリは
レストラン情報を提供するシステムに
「近くのレストラン情報をください」
と、更に要求します。
そしてレストランシステムが地図アプリにそのリクエストに基づいて
「こちらが近くのレストランのリストです」
と返事=レスポンスをします。
これこそがAPIを使った、という状況だといえます。
APIが細かく連鎖することこそが、
現在スマホ社会の便利さの正体だったのです。

違うアプリ、ソフトウェアの連携としては
SNS等々にログインするときの段取りが、分かりやすいAPIの使い方かもしれません。
ユーザーがFacebookに
「Googleアカウントでログイン」ボタンをクリックします。
するとFacebookはGoogleに
「このユーザーがログインしたいから、
アカウント情報を確認してくれ」とリクエストを送ります。
Googleはそのリクエストに応じて、
ユーザーのアカウント情報を確認し、
「このアカウントは正しい」とFacebookに返答します。
最後に、Facebookが「よっしゃ、ログインを許可するよ!」
とレスポンスを返しユーザーがログインできるようになります。
以上の様なコトが瞬く間に行われるのは
事前にそういう連携の仕組みを用意しているから
=APIがあるからです。

オンラインショッピングサイトで商品を購入する際、
決済をするときもAPIが使われています。
例えば、ユーザーが「この商品を購入したい」とアプリに入力すると、決済システムに「支払いを処理してほしい」とリクエストが送られます。
そして決済システムはそのリクエストに応じて、
支払いを完了する(という情報を返してくれる)というわけです。
このように、APIは異なるシステム同士が効率的に連携し、
私たちの生活を便利にしている重要な役割を果たしています。
APIの技術は、特に「機関同士の連携」に大きな影響を与えました。
企業や金融機関がAPIを使ってデータを共有し、
効率的にサービスを提供することで、
さまざまな業界が進化しています。
その中でも、オンラインショッピングの例のように、
金融サービスがAPIを通じて実行されることは、
BaaS(バース)と呼ばれています。
昔の阪神の選手や、多次元宇宙とは関係ありません。
BaaSとはBanking as a Service
=サービスとしての銀行のことです。
APIとBaaS

BaaS(Banking as a Service)は、
銀行が提供する金融サービスを、
APIを通じて他の企業や非金融企業に提供する仕組みです。
つまり銀行以外の一般企業(非金融企業)でも、
口座開設、決済処理、融資、預金管理などの
金融サービスを提供できるようになる取り組みがBaaSです。
「Banking as a Service=サービスとしての銀行」
とは、物理的な銀行施設を必要とせず、
デジタル環境で提供される銀行の機能を指します。
企業は自社のアプリケーションに銀行の機能を組み込み、
クレジットカード発行、ローンサービス、
キャッシュレス決済システムなど、
独自の金融サービスを提供することができるのです。
これがBaaSの活用例です。
たとえば楽天市場での購入時に、
顧客は銀行口座やクレジットカード情報を、
アプリ内で直接入力します。
その情報がAPIを通じて決済システムに送信され、取引が完了します。
これこそがBaaSの実際の運用例です。
このように、BaaSは銀行機能をデジタル化し、
他の企業が銀行サービスを提供する基盤となっています。
APIとBaaSの活用例
他にも具体例としては、
フィンテック企業による金融サービスの提供が上げられます。
フィンテックとは
「金融(Finance)」と「テクノロジー(Technology)」
とを組み合わせた言葉であり、
フィンテック企業、
テクノロジーを活用して新しい金融サービスを提供する企業のことです。
代表的な例がPayPayやLINE Payです。

PayPayやLINE PayはBaaSを利用して、銀行機能を自社のアプリに組み込んでいます。
これらの企業は、銀行自体を持たないものの、APIを通じて銀行の決済システムや口座管理機能を利用し、ユーザーに対して即座に送金や決済を可能にしています。
ユーザーは銀行口座を持っていなくても、
アプリを通じて金融取引ができるようになるのです。
保険業界でも、
銀行のAPIを通じた新しいサービスが提供されています。
ソニー損保などの保険会社は、
銀行のAPIを使って顧客の口座情報や支払い履歴を確認し、
迅速に保険料の引き落としや返金処理を行う仕組みを整えています。
これにより顧客は手軽に保険契約の管理ができ、
保険業務の効率化にも繋がっています。
複数の銀行間で提供されるサービスも、
APIを活用して統合が進んでいます。
これもBaaSの一環と言えるでしょう。
例えば、住信SBIネット銀行と三菱UFJ銀行がAPIを利用して、
異なる銀行間で顧客情報を交換し、
どちらの銀行のアプリでもサービスを利用できるようにしています。
これにより、顧客は複数の金融機関のサービスを
一つのアプリで利用できるようになり、利便性が向上しています。
APIとBaaSのメリット
APIとBaaSの活用には、
企業と消費者にとってさまざまなメリットがあります。
総じて、以下のようにまとめることが出来るでしょう。
・サービスの迅速な展開
BaaSを活用することで、企業は銀行システムを一から開発せずに、
既存のインフラを利用して、
新しいサービスを素早く立ち上げることができます。
実際にPayPayはAPIを使い、迅速に送金サービスを提供しています。

・コスト削減
企業はAPIを利用することで、銀行インフラを借りるだけで済み、
システム開発のコストを削減できます。
これにより、金融業界の競争が活発化し、
消費者にも多くの選択肢が提供されます。
・利便性の向上
顧客にとって、
複数の金融サービスが一つのアプリで管理できることは。
大きな利便性向上を意味します。
オンラインショッピング、送金、保険契約が
一つのアプリで完結することで、
ユーザーは手軽に日常の金融取引を行えます。
APIとBaaSの課題
しかしAPIとBaaSには、
いくつかの課題をあげることもできます。

・セキュリティの問題
APIを通じて情報をやり取りする際には、
情報漏洩や不正アクセスのリスクがあります。
特に金融取引に関連するデータは慎重に取り扱う必要があり、
強固なセキュリティ対策が求められます。
・標準化の不足
現在、APIの仕様が統一されていないことがあり、
異なるシステム間で連携がうまくいかないことがあります。
APIの標準化が進めば、よりスムーズな連携が可能になります。
・依存関係の問題
BaaSを利用する企業は外部の銀行に依存しているため、
その銀行のシステムに不具合が生じると、
企業のサービスにも影響が出る可能性があります。
サービスの安定性やバックアップ体制の整備が重要です。
今後の展望
それでもAPIとBaaSは今後ますます普及していくでしょう。
たとえばAIを活用して顧客の金融履歴を分析し、
個々のニーズに合わせたサービスが提供されるようになるでしょう。
AIは膨大なデータを高速で処理し、
予測や意思決定を支援するため、より精度の高いサービスを実現するのです。

またブロックチェーン技術が、
データ交換のセキュリティを強化する重要な役割を果たすかもしれません。
ブロックチェーンは取引データが
「ブロック」という単位で暗号化され、
連続的に「チェーン」として繋がることであり、
これにより不正な改ざんが困難になります。
金融機関だけでなく、医療や物流などの業界でも、
安全で信頼性の高いデータ管理が可能になると期待されています。
これらの技術を組み合わせることで、
より便利で安全なサービスの提供が進み、
私たちの生活がさらに便利になる未来が広がっています。
まとめ
APIとBaaSは異なるシステム間で効率的にデータをやり取りし、
企業が迅速に新しいサービスを展開できる強力な技術です。
これにより私たちの生活はさらに便利になる、
革新的なサービスが登場することが期待されています。
技術の進化に伴い、
より多様で新しいサービスが、
私たちの生活を豊かにしてくれるでしょう。