1.はじめに

今回は、多くの方にとって馴染みが薄いかもしれない「遺族年金」について、わかりやすく説明しましょう。
突然大切な人を失うことは、誰にとっても辛い経験です。
そんな時、経済的な不安が重なると、さらに心が折れそうになりますよね。
でも、ご安心ください。
遺族年金という制度が、あなたや大切な家族を支えてくれるのです。
2. 遺族年金とは?
遺族年金は、簡単に言えば「大黒柱を失った家族を経済的に支える制度」です。

国民年金や厚生年金に加入していた人が亡くなった時、その人によって生計を維持されていた遺族に支給される年金のことを指します。
想像してみてください。突然、家族の収入源がなくなってしまったら…
家賃、食費、子どもの教育費など、生活に必要な支出は続きます。
遺族年金は、そんな厳しい状況に直面した家族を助ける「経済的な命綱」なのです。
3. 遺族年金の種類
遺族年金には、大きく分けて2種類。
- 遺族基礎年金
- 遺族厚生年金
これらは、よく「2階建て」と表現されます。
3-1. 1階部分:遺族基礎年金
遺族基礎年金は、いわば1階部分。
業を問わず、国民年金に加入していた人なら誰でも対象となります。
3-2. 2階部分:遺族厚生年金
遺族厚生年金は2階部分。
主に会社員や公務員が対象です。
厚生年金に加入していた人の遺族が受け取れます。
つまり、会社員だった人の遺族は、遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方を受け取れるかもしれません。
4. 誰が受け取れるの?
「遺族」と一言で言っても、実際に年金を受け取れる人には条件があります。
主な対象者は以下の通りです:
4-1. 子のある配偶者
- 18歳未満の子(または20歳未満で障害のある子)を育てている配偶者

4-2. 子
- 18歳到達年度の末日までの子
- 20歳未満で障害等級1級または2級の状態にある子


ここで注意したいのは、
「子のない配偶者」は基本的に遺族基礎年金の対象外だということ。
※ ただし、遺族厚生年金なら受給できるかもしれません。
5. 受給資格の条件
遺族年金を受け取るには、いくつかの条件を満たさなければいけません。
5-1. 生計維持関係
- 亡くなった人によって生計を維持されていたこと
「生計維持関係」って何?と思う方もいるでしょう。
簡単に言えば、亡くなった人の収入で生活していた、ということです。
例えば、専業主婦(夫)の場合は、配偶者の収入で生活していたので、この条件を満たします。
5-2. 同一生計
- 生計を同じくしていたこと
「同一生計」は、必ずしも同居している必要はありません
例えば、単身赴任中の配偶者が亡くなった場合でも、定期的に仕送りがあったなど、経済的なつながりがあれば「同一生計」と認められます。
5-3. 収入制限
- 一定以上の収入がないこと
収入制限については、年齢や状況によって異なり、一般的に年収850万円未満程度が目安となります。
6. 支給額はいくら?
ここで気になるのが支給額ですね。
「実際にいくらもらえるの?」という声が聞こえてきそうです。
遺族年金の支給額は、亡くなった人の加入期間や報酬、遺族の状況などによって変わります。
ここでは、一般的な例を挙げてみましょう。
6-1. 遺族基礎年金の場合(2024年度の例)
- 子のある配偶者:約78万円(年額)
- 子1人の場合:約23万円(年額)を加算
- 子2人目以降:1人につき約7万円(年額)を加算
例えば、子2人のいる30代の配偶者の場合:
78万円 + 23万円 + 7万円 = 108万円(年額)
つまり、月額にすると約9万円となります。
6-2. 遺族厚生年金の場合
遺族厚生年金の額は、亡くなった人の厚生年金加入期間や報酬額によって変わります。
一般的には、亡くなった人が受け取るはずだった老齢厚生年金の75%程度です。
例えば、亡くなった人の老齢厚生年金が月額20万円だった場合:
20万円 × 75% = 15万円(月額)
遺族基礎年金と合わせると、先ほどの例では:
9万円 + 15万円 = 24万円(月額)
※ただし、これはあくまで一例です。
実際の支給額は個々の状況によって大きく異なりますので、詳しくは年金事務所に相談してください。
7. 申請手続きの流れ
さて、遺族年金を受け取るためには、申請しなければいけません。
以下に、基本的な手続きの流れを説明しましょう。
7-1. 年金事務所で資格確認
まずは最寄りの年金事務所に行き、受給資格があるか確認する。
7-2. 必要書類の準備
主な必要書類:
- 戸籍謄本
- 住民票
- 死亡診断書(写し)
- 年金手帳
- 銀行口座の情報がわかるもの

7-3. 裁定請求書の記入と提出
年金事務所で裁定請求書を受け取り、必要事項を記入。
準備した書類と一緒に提出する。
7-4. 年金証書・決定通知書の受領
申請から約1~2か月後、年金証書と決定通知書が届く。
7-5. 年金の受け取り開始
指定した口座に年金が振り込まれる。
ここで重要なのは、申請は「受給権が発生してから5年以内」に行わなければいけません。
うっかり忘れて申請が遅れると、受け取れる年金が減ってしまうかもしれません。
8. よくある疑問Q&A
遺族年金について、よくある疑問をQ&A形式でまとめてみました。
Q1: 再婚したら遺族年金は打ち切られますか?
A1: 子のある配偶者の場合、再婚しても子が18歳になるまでは遺族基礎年金を受け取れます。
遺族厚生年金は再婚すると失権します。
Q2: 海外に住んでいても遺族年金は受け取れますか?
A2: 基本的に受け取れます。
ただし、国によっては手続きが複雑になる場合があります。
Q3: 遺族年金は課税対象になりますか?
A3: 遺族基礎年金は非課税です。
遺族厚生年金は一部が課税対象となります。
Q4: 働いていても遺族年金は受け取れますか?
A4: 収入が一定額(年収850万円程度)を超えなければ、受け取ることができます。
Q5: 離婚した元配偶者の遺族年金を受け取ることはできますか?
A5: 原則として受け取ることはできません
ただし、離婚時に年金分割をしていた場合は、その分割された年金を受け取ることができます。
9. 遺族年金を最大限活用するためのアドバイス
9-1. 早めの情報収集
万が一の時のために、事前に遺族年金について知っておくことが大切です。
9-2. 定期的な加入記録の確認
年金加入記録を定期的にチェックし、漏れがないか確認しましょう。
9-3. 保険との組み合わせ
遺族年金だけでは不十分な場合、生命保険などで補完することを検討しましょう。
9-4. 専門家への相談

複雑な制度なので、わからないことがあれば
年金事務所や社会保険労務士に相談するのがおすすめです。
9-5. 家族との情報共有
年金情報を家族で共有しておくことで、いざという時にスムーズに手続きができます。
10. まとめ:遺族年金は大切な社会保障制度

遺族年金は、突然の不幸に見舞われた家族を支える重要な制度です。
「まさか自分が…」と思うかもしれませんが、人生何が起こるかわかりません。
この記事を読んで、遺族年金について理解を深めていただけたでしょうか?
制度の詳細は複雑で、個々の状況によっても異なります。
不安や疑問がある場合は、ぜひ専門家に相談してみてください。
最後に、遺族年金は単なる経済的支援以上の意味があります。
それは、社会全体で遺族を支えるという、私たちの思いやりの表れでもあるのです。
大切な人を失った悲しみは、お金では癒せません。
でも、遺族年金という制度があることで、少しでも生活の不安が軽減され、前を向いて歩んでいけるきっかけになればいいですね。
皆さんも、自分や家族を守るために、遺族年金について知識を深めてみてはいかがでしょうか?
きっと、将来の安心につながるはずです。