年金生活者支援給付金:高齢者の生活を支える制度……ってホント!?

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はじめに:表面的な支援策の裏に潜む深刻な問題

日本社会が直面している大きな課題の一つに、
高齢者の生活支援があります。
特に年金だけでは十分な生活を送ることが難しい方々にとって、
日々の暮らしは大きな不安を抱えるものとなっています。
そんな中で国が提供している
「年金生活者支援給付金」という制度が存在しているのです!



御存じでしたか!?
意外と知られていなかったり、
知っているけど支援を受けるなんて恥ずかしいし……
なんて人もいるかもしれません。
でも、とっても便利な制度なんですよ!


……と、明るく楽しく紹介するべきなのかな?
なんて思っていたのですが、
筆者は調べていくうちにちょっとばかり、
そんなテンションを維持できなくなりました。
この制度は本当に、
高齢者の生活を支える役割を果たしているのでしょうか?

深刻化する高齢化と世代間格差

まず、年金生活者支援給付金が生まれた背景から見ていきましょう。
日本の高齢化率(65歳以上の人口が総人口に占める割合)は、
急速に上昇しています。
1985年には10%だった高齢化率が、
2025年には30%を超えると予測されています。
つまり、わずか40年ほどの間に、
10人に1人だった高齢者の割合が、10人に3人にまで増加したのです。


この急速な高齢化は、年金制度に大きな影響を与えています。
年金制度は現役世代が支払う保険料で高齢者の年金を支払う
「世代間扶養」の仕組みで成り立っています。
支える側の現役世代の割合が減少し、
支えられる側の高齢者の割合が増加
しつつある現状は、
この仕組みを維持が難しくしています。

もう一度具体的な数字を振り返って見てみましょう。
1985年時点では現役世代(20歳以上64歳以下)の割合は61%。
2010年には59%に減少し、
2025年には55%まで縮小
する見通しです。
やはり支える側の人口が減少し、支えられる側の人口が増加しているのです。

政府は年金制度の持続可能性を維持するため、
様々な施策を打ち出していますが、
その一つが年金生活者支援給付金制度です。



物凄く簡単に言えば
「年金とは別に+αがあるよ!」「お金がもらえるよ!」
という話ですし、
やったぜ!的な記事を書くのが筆者の目論見だったのですが……。

制度の対象と条件:厳しすぎる基準

実際に年金生活者支援給付金の対象となるには、
厳しい条件を満たす必要があります。主な条件は以下の通りです、

1. 65歳以上で老齢基礎年金を受給している
2. 世帯全員の市町村民税が非課税である
3. 年金収入とその他の所得を合わせた金額が、年間約88万円以下


年間88万円という基準は月額にすると約7.3万円です。
これは、高齢者単身世帯の相対的貧困線(約12万円)を、
はるかに下回っています。
つまり、この制度は「貧困」とされる高齢者の中でも、
特に厳しい状況にある人々だけを対象としているのです。

さらに、市町村民税非課税という条件も問題です。
わずかな所得の違いで課税対象となり、
結果的に給付金を受け取れなくなるケースも考えられます。

働く意欲のある高齢者の就労を抑制する効果さえ持ちかねません。

このような厳しい条件設定は多くの生活困難な高齢者を、
支援の対象から除外してしまっているのではないでしょうか。

年金生活者支援給付金の実態:わずかな給付額の問題

そもそも年金生活者支援給付金、
具体的にどれくらいのものなのか……。

物価等々で変動するものではあるのですが、
2025年度の場合、満額でわずか月額5,310円となっています。
年間で約63,720円に相当します。

この金額で何ができるでしょうか。具体的に見てみましょう。

再度繰り返しますが、貰える条件は年間の収入が88万円の高齢者です。

平均月収が約12万円の+α、ではありません。

88万+5,310は12万円にすら満たないのです。

このような少額の給付金を「支援」と呼ぶのは、

高齢者の生活実態を軽視しているように思えてならないのは、

筆者がもう40代だから、というわけでもないと思うのですが……。

制度の問題点:形式的な支援と世代間分断

どうもこの制度は政府が「高齢者を支援している」
という体裁を整えるためのものに過ぎないのではないか?
という疑念があります。
実質的な生活支援になっていないにもかかわらず、
制度を設けることで「対策を講じている」
という印象を与えようとしているように見えます。



さらに深刻なのは、この手の胡麻化しが、
世代間の分断を助長する可能性があることです。
事実、現役世代にとっては、
自分たちの負担で高齢者を支えているという意識が強まっています。
一方で高齢者は、
現実的に十分な支援を受けられていないわけです。

現役世代の平均年収は約430万円ですが、
そこから約16%の社会保険料(年金保険料を含む)が差し引かれます。年間約70万円を社会保障のために支払っているのです。
それに対して現役世代が老人め!老人め!と怒っている一方、
高齢者に支給される年金生活者支援給付金はわずか年間6万円程度。
どっちにしろ損しかしてない状況です。

このような状況を放置して「高齢者vs若者」
という対立構図を作り出し、
社会の分断が進みつつある現代……。
年金生活者支援給付金制のみならず、
社会保障制度は世代間の連帯を強化するものであるべきですが、
むしろ逆効果になっているのではないでしょうか。

制度の認知度と申請の壁:利用されない支援

年金生活者支援給付金制度には、さらなる問題があります。
それは、この制度の認知度の低さと、申請手続きの煩雑さです。



厚生労働省の調査によると、
年金生活者支援給付金の対象となる可能性がある人のうち、
実際に申請している人は約7割
にとどまっています。
3割の人が、受給の可能性があるにもかかわらず申請していないのです。

この背景には、以下のような要因が考えられます:

特に問題なのは支援を最も必要としている人々ほど、
これらの障壁に直面しやすい
ということです。
例えば、独居の後期高齢者や、
認知機能の低下が始まっている高齢者などは、
制度を知る機会も少なく、申請手続きも困難
です。


また、申請には様々な書類が必要です。
年金証書のコピー、住民票、
所得証明書などを揃えなければなりません。
これらの書類を集めること自体が、
高齢者にとっては大きな負担となります。



もとい、支援を必要としているのが、
以上の様な事柄がスムーズに行えない……
という側面が、無視されている現状なわけです。

さらに「福祉的な支援を受けることへの抵抗感」
も無視できません。
日本社会には依然として「自立すべき」という価値観が強く、
公的支援を受けることを恥じる高齢者も少なくありません。
このような心理的障壁も、制度の利用を妨げる要因となっています。

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真の解決策に向けて:制度の抜本的見直しの必要性

総じて年金生活者支援給付金制度は、
高齢者の生活支援を目的としていますが、
現状では十分にその役割を果たしているとは言えません。

高齢者の実際の生活費や、
年々上昇する物価を考慮すると、より実質的な支援が求められます。

具体的には、以下のような改善策が考えられます。

1. 給付金額の大幅な引き上げ
 現在の月額5,310円から、
 少なくとも2〜3万円程度に引き上げるべきです。
 これにより高齢者の生活に実質的な改善をもたらすことができます。

2. 対象者の範囲拡大
 現在の厳しい条件を緩和し、
 より多くの高齢者が支援を受けられるようにすべきです。
 例えば年収基準を、
 相対的貧困線程度まで引き上げることが考えられます。

3. 申請手続きの簡素化
 オンライン申請の導入や必要書類の削減など、
 高齢者が容易に申請できる仕組みを整備する必要があります。

4. 制度の周知徹底
 テレビCMや新聞広告、
 さらには地域の民生委員を通じた直接的な案内など、
 多様な手段で制度の存在を周知すべきです。

5. 世代間連帯を促進する仕組みの導入
 例えば現役世代が高齢者支援に参加することで、
 税制優遇を受けられるようにするなど、
 世代間の協力を促進する制度設計が必要です。

また年金制度全体の持続可能性を高めるための、
新たな施策も同時に検討すべきです。
例えば高齢者の就労支援や、
世代間交流を促進する取り組みなど、
社会全体で高齢者を支える仕組みづくりが求められています。

さらにこの問題は単に高齢者支援の問題だけではなく、
日本社会全体の在り方に関わる問題でもあります。
少子高齢化が進む中で、世代間の公平性をどのように確保するか、
社会保障制度をどのように維持していくかなど、
根本的な議論が必要です。

まとめ:真の高齢者支援と世代間連帯に向けて

年金生活者支援給付金制度は、
高齢者の生活支援という重要な目的を掲げていますが、
現状ではその役割を十分に果たしているとは言えません。
わずかな給付額、厳しい受給条件、低い認知度など、
多くの問題を抱えています。

さらに、この制度が世代間の分断を助長する可能性があることは、
社会の連帯という観点から見て大きな問題です。
高齢者の尊厳ある生活を支えつつ、世代間の対立を避け、
社会全体で支え合う仕組みを構築することが急務です。


政府は、この制度を含む高齢者支援策全体を見直し、
真に効果的で公平な支援のあり方を模索する必要があります。
同時に、私たち一人一人も、高齢者支援の問題を自分事として捉え、
世代を超えた対話と協力を進めていくことが求められています。



高齢者も若者も、
全ての世代が安心して暮らせる社会の実現に向けて、
私たちはこれからどのような選択をしていくべきなのか。

年金生活者支援給付金制度の問題は、
私たちの社会の在り方そのものを問いかけているのです。
この問題に真摯に向き合い、世代を超えた議論と協力を通じて、
より良い解決策を見出していくことが、
今の日本社会に求められているのではないでしょうか。

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