はじめに
経済や投資の世界は、専門用語や複雑なデータが飛び交い、
初心者にとってはどこから手を付けて良いか、
戸惑うことばかりかもしれません。
「株」や「投資」という言葉は知っていても、
実際に何から学べば良いのか、どんな情報を参考にすれば良いのか、
具体的な方法が分からない!
という方も多いのではないでしょうか。

そんな時頼りになるのが「会社四季報」という本です。
この本は日本国内の上場企業、
約4,000社に関する情報が網羅されており、
まるで経済の地図のような存在です。
投資家や経済アナリストだけでなく、
就職活動中の学生やビジネスパーソンなど、
幅広い層に活用されています。
この記事では、「会社四季報」とは一体どんな本なのか、
その基本的な内容から活用方法までを、
初心者にも分かりやすく解説します。
さらに、経済アナリストとして著名なエミン・ユルマズ氏が、
自身のYouTubeチャンネル「探求!エミンチャンネル」
で公開している動画
「【四季報は今の日本を映す小説】
会社四季報2024年4集 秋号から見る日本経済の姿」
https://www.youtube.com/watch?v=WY2nL29jA1s
の内容を参考に、
「会社四季報」を使った日本経済の分析方法や、
投資戦略についても、より深く掘り下げて解説していきます。

「会社四季報」の基本情報

「会社四季報」は株式会社東洋経済新報社が発行している、
日本の上場企業に関する情報をまとめた本です。
年に4回、季節ごとに発行されることから
「四季報」という名前が付けられています。
具体的には
・春号(3月)・夏号(6月)・秋号(9月)・新春号(12月)
の年4回発行されます。
創刊は1936年と、非常に長い歴史を持っています。
戦前から日本の経済を支える企業の情報を提供し続けてきた、
信頼性の高い情報源と言えるでしょう。
大型書店であれば、
ビジネス・経済関連の書籍コーナーに置かれていることが多いです。
特に経済・金融、株式投資
といったジャンルの棚を探すと見つけやすいでしょう。
また、Amazonや楽天ブックスなどの、オンライン書店でも購入できます。
電子書籍版も販売されており、
スマートフォンやタブレットで読むこともできます。。
価格は2025年2月現在、紙版・電子版ともに税込で2,420円です。
決して安くはありませんが、
掲載されている情報量や専門性を考えると、
コストパフォーマンスは高いと言えるでしょう。
「会社四季報」には何が載っている?
「会社四季報」には、日本の上場企業に関する様々な情報が、
詳細かつ網羅的に掲載されています。
ここでは、「会社四季報」に掲載されている主な情報について、
一つずつ詳しく見ていきましょう。
①企業概要:企業の基本情報を網羅
各企業ページの冒頭には、
その企業の基本的な情報が記載されています。
以下の情報は、企業を理解するための第一歩となります。
・企業名
企業の正式名称が記載されています。
・証券コード
証券取引所で使用される4桁の番号で、
企業を特定するために用いられます。
・上場市場
企業が株式を公開している市場
(東証プライム、東証スタンダード、東証グロースなど)
が記載されています。
・本社所在地
企業の本社がある住所が記載されています。
・設立年月日
企業が設立された年月日が記載されています。
・従業員数
企業の従業員数が記載されています。
これらの情報を確認することで、
企業の規模や歴史、所在地といった、
基本的な情報を把握することができます。
②事業内容:企業のビジネスモデルを理解する
企業概要に続いて、
その企業がどのような事業を行っているのかが説明されています。
事業内容は企業のビジネスモデルを理解する上で非常に重要です。
例えば自動車メーカーであれば
「自動車および同部品の製造・販売」といったように、
主要な事業内容が簡潔に記載されています。
また、企業の強みや特色、市場シェアなども記載されており、
その企業がどのようなビジネスを展開しているのか?
を、理解する上で役立ちます。
③業績データ:企業の成長性を分析する
「会社四季報」の中核となるのが、
企業の業績データです。
過去数年間の売上高や利益の推移、
そして今後の業績予想などが掲載されています。
具体的には、以下の情報が掲載されています。
・売上高
企業が商品やサービスを販売することで得た収入の合計額
・営業利益
売上高から売上原価と販売費及び一般管理費を差し引いた利益
・経常利益
営業利益に、営業外収益(受取利息など)を加え、
営業外費用(支払利息など)を差し引いた利益
・当期純利益
経常利益から、特別利益や特別損失、
税金などを差し引いた、最終的な利益
これらのデータを分析することで、
企業の収益性や成長性を評価することができます。
特に、過去のデータと将来の予測を比較することで、
企業がどのような成長戦略を描いているのか?
を、理解することができます。
④株価指標:株式の割安度を判断する
株式投資を行う上で重要なのが、株価指標です。
「会社四季報」には以下の様な、代表的な株価指標が掲載されています。
・PER(株価収益率)
株価を1株当たり当期純利益で割ったもの。
企業の収益力に対して株価が割高か割安かを判断する指標
・PBR(株価純資産倍率)
株価を1株当たり純資産で割ったもの。
企業の資産価値に対して株価が割高か割安かを判断する指標
・配当利回り
1株当たりの年間配当金を株価で割ったもの。
株式投資によって得られる年間の収益率を示す指標

これらの指標を分析することで、
その企業の株式が割安なのか割高なのか?
を、判断することができます。
⑤財務情報:企業の財務健全性を評価する
企業の長期的な成長を支えるのは、安定した財務基盤です。
「会社四季報」には、
企業の財務状況を評価するための情報も掲載されています。
・自己資本比率
企業の総資産のうち、返済義務のない自己資本が占める割合。
自己資本比率が高いほど、企業の財務健全性が高いと言える
・ROE(自己資本利益率)
自己資本に対する当期純利益の割合。
企業がどれだけ効率的に利益を生み出しているかを示す指標
・有利子負債比率
総資産に対する有利子負債(借入金や社債など)の割合。
この比率が高いほど、企業の財務リスクが高いと言える
これらの指標を分析することで、
企業の財務健全性や収益性を評価することができます。
例えば、自己資本比率が高く、ROEも高い企業は、
安定性と収益性を兼ね備えた優良企業と言えるでしょう。
⑥株主・役員情報:企業のガバナンス構造を理解する
企業のガバナンス(統治)構造を理解する上で重要なのが、
株主構成と役員情報です。
・大株主情報
上位株主とその持株比率が記載されています。
これにより、誰がその企業の主要な所有者なのかが分かります。
・役員情報
代表取締役や主要な取締役の氏名と役職が記載されています。

この情報を見ることで、
企業の意思決定がどのように行われているのか?
外部からの影響をどの程度受けやすいのか?
などを推測することができます。
⑦アナリストコメント:専門家の視点を知る
「会社四季報」には、
東洋経済新報社のアナリストによる分析コメントも掲載されています。
このコメントには、以下のような内容が含まれています。
・企業の現状評価
・市場環境との関係性
・新たな事業展開への期待感
・今後の成長可能性や課題
プロの視点からの分析を知ることで、
自分では気づかなかった、企業の特徴や課題を理解することができます。
⑧最新ニュースとトピックス:企業の最新動向を把握する
各企業について最近注目すべき出来事や新製品、
新サービスの情報が簡潔にまとめられています。
これによりその企業の、
最新の動向や将来性について知ることができます。
エミン・ユルマズ氏の「会社四季報」活用法
さて、ここでエミン・ユルマズ氏の動画を参照しましょう。
エミン・ユルマズ氏は経済アナリストとして、
様々なメディアで活躍しています。
彼のYouTubeチャンネル「探求!エミンチャンネル」では、
「会社四季報」を用いた日本経済の分析がしばしば行われています。
こと、冒頭で参照動画として挙げた
「【四季報は今の日本を映す小説】
会社四季報2024年4集 秋号から見る日本経済の姿」では、
ユルマズ氏が「会社四季報」を、
どのように活用しているかが詳しく紹介されています。
「会社四季報」は「日本経済の小説」
ユルマズ氏は、「会社四季報」を単なるデータ集ではなく、
「日本経済がテーマの小説」として捉えるべきだと主張しています。
彼によれば、「会社四季報」は
「どの会社や業界の調子がよく、
どこが苦戦しているのかをすべて物語ってくれる」ものです。
つまり個別の企業データを見るだけでなく、
それらを総合的に分析することで、
日本経済全体の動向を読み取ることができる!
というわけです。
ユルマズ氏の「会社四季報」の読み方
ユルマズ氏は、「会社四季報」を読む際に、
以下のようなポイントに注目しています。
1.見出しランキングから市場全体のセンチメントを把握
「見出しランキング」とは、
四季報内の記事見出しに使われるキーワード
(例:「最高益」「続伸」「反落」など)を集計したものです。
これを見ることで、市場全体が強気なのか弱気なのか、
投資家心理(センチメント)を把握します。
例えば、「最高益」や「増収増益」といった、
ポジティブなキーワードが多ければ、
市場全体が活気づいていることを示します。
一方、「減益」や「下方修正」といった、
ネガティブなキーワードが目立つ場合、
市場は慎重な姿勢を取っている可能性があります。
2.市場別業績集計表で全体像を確認
市場別(東証プライム、スタンダード、グロース)
の業績集計表をチェックし、
市場ごとの業績トレンドや前号との違いを確認します。
このステップでは日本経済全体の方向性や、
特定市場の強弱を把握できます。
3. 個別銘柄分析:注目企業と業界動向
ユルマズ氏は個別銘柄について以下のポイントに注目します
☆特色欄:企業概要や競争優位性を理解する。
☆業績欄・材料欄:新たな取り組みや注目すべき変化
(「市場シェア1位」「世界初」など)に着目。
☆今期と来期予測:増収増益が見込まれる企業に注目。
☆財務健全性:自己資本比率70%以上が理想的。
50%未満の場合は注意が必要。
4. 株価指標は最後に確認
先入観を防ぐため、
株価指標(PERやPBRなど)は最後に確認します。
これによりデータ分析結果と、
株価評価との整合性をチェックします。
動画で語られた2024年秋号からの予測
さて、参照動画
「【四季報は今の日本を映す小説】
会社四季報2024年4集 秋号から見る日本経済の姿」では、
ユルマズ氏が以下のような予測を立てました。
1. 景気先行指数
日本経済全体として緩やかな回復基調が続くと予測。
特に製造業やインバウンド需要(海外観光客による消費活動)
が、牽引役になると分析しました。
2. 製造業セクター
(セクター=上場している株式を業種別に分類したグループのこと)
製造業セクターは好調を維持。
ただし、自動車産業では電気自動車(EV)への移行による、
競争激化が懸念されると指摘しました。
3. 不動産セクター
新築住宅市場には頭打ち感があり、
不動産セクター全体として低迷する可能性が高いと予測しました。
4. 株価動向
業績鈍化傾向から株価上昇余地は限定的であると見解。
ただし、一部成長分野には期待感も残るとしました。
5. 市場センチメント
見出しランキングから、
市場全体ではポジティブな見方が多いものの、
一部慎重な見解も混在していると分析しました。
2025年2月時点での予測検証
上記の動画内で語られた予測について、
2025年2月時点で検証した結果は以下の通りです。
1. 景気先行指数:〇(的中)
内閣府発表の景気先行指数は緩やかな上昇基調を維持。
製造業とインバウンド需要が大きく寄与しています。
2. 製造業セクター:〇(的中)
トヨタ自動車やソニーグループなど、
大手製造業企業は好調な業績を維持。
一方で原材料価格高騰によるコスト圧迫も一部で見られました。
3. 不動産セクター:△(一部的中)
新築住宅市場は低迷傾向が続いています。
ただし、中古住宅市場やリノベーション需要は堅調で、
不動産セクター全体として一概に低迷とは言えません。
4. 株価動向:✕(はずれ)
日経平均株価は38,000円台を突破し史上最高値を更新。
AI関連銘柄やインバウンド需要への期待感が、
株価上昇を牽引しました。この点では予測が外れています。
5. 市場センチメント:〇(的中)
四季報内ではポジティブキーワード
(例:「最高益」「増収増益」)が多く見られる一方、
「横ばい」「反落」といった慎重なキーワードも散見され、
市場全体として楽観と慎重さが混在している状況です。
検証結果から得られる教訓
ユルマズ氏の予測正解率は60%(3/5)。
景気動向や製造業セクターについては高い精度で的中しました。
しかし、不動産セクターや株価動向については一部外れており、
市場全体の強さを過小評価した面も見られました。
この結果から得られる教訓として以下が挙げられます。
◎四季報データ分析は有効だが、市場には予測不能な要因も多い。
◎投資判断には複数の情報源や指標を組み合わせることが重要。
◎長期的視点でデータを見ることで、
一時的な変動に惑わされない判断力が養われる。
まとめ
「会社四季報」は、
日本経済全体と個別企業双方を理解するための強力なツールです。
エミン・ユルマズ氏の分析例からも分かるように、
多角的視点で丁寧に読み解くことで、
投資判断のみならず、
日本経済そのものへの深い洞察が得られます。
初めて手に取る際には情報量に圧倒されるかもしれません。
しかし、自分なりに読み方を工夫しながら継続して活用することで、
その真価を実感できるでしょう。
「会社四季報」は単なる本ではなく、
日本経済という大きな物語への入り口なのです。