マネーサプライと株価の関係:2025年の世界経済を読み解く

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はじめに

「マネーサプライ」という言葉を聞いたことがありますか?
一見難しそうに聞こえますが実はこの言葉、
私たちの生活に大きな影響を与えているのです。

今回は2024年11月18日、
著名なエコノミストであるエミン・ユルマズ氏が、
自身のYoutubeチャンネルで配信した
『マネーサプライと株価の関係。世界景気は大丈夫か?』
という動画の中で行った分析を基に、
マネーサプライと株価の関係、
そして世界経済の今後
について詳しく見ていきましょう。

参照➡https://www.youtube.com/watch?v=ll9mSXEPoOc

マネーサプライとは何か

まず、マネーサプライについて詳しく説明しましょう。
マネーサプライとは簡単に言うと、
経済全体で使えるお金の総量のことです。
これには私たちが日常的に使う現金だけでなく、
銀行に預けているお金
も含まれます。



日本銀行のウェブサイトによると、
マネーサプライには主にM1、M2、M3という3つの指標があります。

M1現金と普通預金など、すぐに使えるお金を指します。
例えば、財布の中の現金や、
ATMですぐに引き出せる預金
がこれにあたります。

M2M1に定期預金などを加えたもので、
すぐには使えないかもしれませんが、
比較的簡単に現金化できるお金です。

M3M2にさらに広範囲の金融資産を加えたもので、
例えば金融機関が発行する譲渡性預金なども含まれます。

これらの指標は経済の状態を理解するのに役立ちます。
例えば景気が良くなると、
人々がより多くのお金を使う
ため、M1が増える傾向があります。
一方、多くの人々が将来への不安を抱く時は、
人々が貯蓄を増やすため、M2が増える傾向があります。

まとめるとマネーサプライと経済の関係は、
一般的に以下のように考えられています。

マネーサプライが増えると、
 人々や企業が使えるお金が増える
ので、
 物を買ったり投資したりする活動が活発になる可能性がある。
②その結果経済全体が元気になり、
 国内生産量=GDPが増える
可能性につながる。
③ただしマネーサプライが大幅に増加すると、
 物価が急上昇
インフレーションする危険性もある。
④逆にマネーサプライが減少すると経済活動が滞り、
 物価が下がり続けるデフレーションを起こす可能性があります。

このようにマネーサプライは、
経済全体の動きを理解する上で重要な指標の一つです。
中央銀行はこれらの指標を注意深く見ながら、
適切な金融政策を行っています。
例えば経済が停滞しているときはマネーサプライを増やし、
インフレが心配されるときはマネーサプライの増加を抑える……
といった調整を行います

アメリカのマネーサプライと株価の動向

ユルマズ氏の分析によると、
2022年春頃からアメリカはマネーサプライを減少させ始めましたが、
2024年に入り再び増加に転じました。
これに伴い株価も上昇しています。
特に2023年11月以降、アメリカ株は大きく上昇しました。



ユルマズ氏はマネーサプライと株価には、
密接な関係があると指摘しています。

一般的にマネーサプライが増加すると株価が上昇し、
減少すると株価が下落
する傾向があります。
これは経済全体でお金が増えると、
その一部が株式市場に流入
し、
需要が増えることで株価が上昇するためです。

この分析は2025年2月時点でも的中していることが確認できます。
ソニーフィナンシャルグループの分析によると、
2025年末のS&P500指数は、
6,600ポイントに達する可能性がある
とされています。
S&P500指数とは、
 アメリカの主要500社の株価を基に算出される株価指数で、
 アメリカ株式市場全体の動向を示す重要な指標です。

しかしユルマズ氏は同時に警告も発しています。
景気先行指数の分析結果に注目すると、
金融系の指数はプラスを示している一方で、
実体経済を示す指数はフラットまたはマイナス
となっています。


☆金融系の指数の例としては、
 リーディングクレジットインデックスがあります。
 これは、将来の経済動向を予測するための指標の一つで、
 企業の信用状況や金融市場の動向を反映します。
☆一方、実体経済を示す指数の例としては、
 ISM指数や住宅着工件数があります。
 ISM指数は、製造業の景況感を示す指標で、
 50を上回ると景気拡大、下回ると景気後退を示唆します。
 住宅着工件数は、新しく建設が始まった住宅の数を示し、
 経済活動の重要な指標の一つです。

これらの指標の乖離は、
金融市場と実体経済の間にギャップが生じていることを示唆
しており、
将来的なリスクとなる可能性があります。

実際、2025年1月の世界経済フォーラムの報告によると、
主要エコノミストの56%が2025年の世界経済は弱まると予想しており、
改善を見込むのはわずか17%に
留まっています。

日本のマネーサプライと株価の動向

日本の状況はアメリカとは対照的です。
ユルマズ氏によると、
2023年4月頃から日本のマネーサプライが減少に転じました。
これに伴い、日本株も上値が重くなり、レンジ相場に入っています。
レンジ相場とは、株価が一定の範囲内で上下動を繰り返し、
 明確な上昇トレンドや、
 下降トレンドを形成しない相場状況
を指します。



日本の実体経済の状況については、
生産性や政策機械受注などの指標はプラスを示しています。
生産性とは、投入された労働や資本に対する生産量の比率を指し、
 経済効率の指標となります。
政策機械受注は、企業の設備投資の先行指標として注目されます。

一方で、新規住宅着工件数はマイナスに転じています。
これは、不動産市場の冷え込みを示唆しており、
経済全体にとってマイナス要因となる可能性があります。

ユルマズ氏は日本のマネーサプライ減少の背景に、
円安を抑制するための措置がある
と推測しています。
円安は輸出企業にとってはプラスですが、
輸入品の価格上昇をもたらし、
インフレを加速させる可能性
があります。
そのため日本銀行は、
マネーサプライを抑制する方向に動いているのではないか?

と氏は分析しています。

カッパー/ゴールドレシオ:経済活動を測る指標

動画内でユルマズ氏は
「カッパー/ゴールドレシオ」という指標にも言及しています。
ではこの指標について詳しく説明しましょう。


カッパー/ゴールドレシオは、
経済活動を測る重要な指標の一つです。
カッパーとは、ゴールドは、レシオとは比率のことです。
どういう比率かというとつまり、
金の価格と比べての銅の価格の比率であり、
銅/金レシオ = 銅価格 ÷ 金価格といった具合に、
銅の価格を金の価格で割った比率です。

この指標が注目される理由は、
銅と金がそれぞれ経済の異なる側面を反映するからです。

カッパー(銅)は「産業の金属」とも呼ばれ、
電線や配管、電子機器など多くの産業製品に不可欠です。
経済が活発になると工場や建設現場での需要が増え、
価格が上昇する
傾向があります。
そのため銅価格は経済活動の活発さを示す良い指標となります。

一方、ゴールド(金)は古くから「安全資産」として知られています。
経済が不安定になったり地政学的リスクが高まったりすると、
投資家は価値が安定している金に資金を移す傾向
があります。
つまり金価格は経済の不確実性や不安定さを反映するのです。

これら二つの金属の特性を組み合わせることで、
カッパー/ゴールドレシオは経済の全体的な状況を、
より鮮明に捉えることができます。
カッパーゴールドレシオが上昇する場合
それは経済活動が活発化し、
銅の需要が増加していることを示唆します。
これは一般的に景気の拡大や、
株式市場の上昇につながる可能性
があります。
逆に、このレシオ=比率が下降する場合
それは経済活動が鈍化し、
安全資産である金への需要が高まっている
ことを示唆します。
これは景気後退や、
株式市場の下落のリスクが高まっている可能性
を示します。

ユルマズ氏の分析によると、
現在、アメリカでは銅価格が下落し、金価格が上昇しているようです。
2024年のカッパー/ゴールドレシオは0.18まで低下しています。
これは2009年の世界金融危機以来の低水準です。
この数値は実体経済が弱い状態にあることを示唆しています。
しかし注目すべき点は、
このように実体経済の弱さを示す指標がある一方で、
株価が上昇を続けているという矛盾した状況です。
景気が良くない中で株価だけが上昇しているこの状況は、
1927年~1928年のアメリカ株暴落の前兆と類似点がある
とも、
ユルマズ氏は指摘しています。

また、ユルマズ氏は景気が悪化しても株価が上昇する
「流動性相場」の脆弱性についても言及しています。
流動性相場とは、実体経済の状況に反映せずに、
市場に大量の資金が流入することで、
株価が上昇する相場
のことを指します。
このような相場は、実体経済との乖離が大きくなるほど、
将来的な調整=株価の下落のリスク
が高まります。

トランプ大統領の再選と経済への影響

ほかにもユルマズ氏は、
トランプ大統領の再選が経済に与える影響についても分析しました。
過去30年間のアメリカの歴史を見ると、
景気後退はすべて共和党政権下で発生
している、
という興味深い事実を指摘しています。


この傾向を踏まえると、
トランプ政権下で新たな経済危機が発生する可能性がある、
とユルマズ氏は警告しています。

実際、2025年2月時点で、トランプ大統領の再選後、
新たな経済リスクが生じています。

例えばトランプ大統領が、
中国に10%の関税を発動させたことが報じられ、
市場に動揺を与えています。
関税が引き上げられると、輸入品の価格が上昇し、
消費者の購買力が低下したり、
企業の生産コストが上昇したりする可能性があります。

投資環境の変化

ユルマズ氏は、投資環境の変化についても言及し、
著名な投資家であるウォーレン・バフェットが、
再び債券投資に注力
していることを指摘しています。
これは、アメリカ株のPER(株価収益率)が高く、
債券の利回りが魅力的になっている
ためです。



PERとは、株価を1株当たりの利益で割った値です。
この値が高いほど、株価が割高であると考えられます。
一方、債券の利回りとは、債券投資から得られる収益率のことです。
金利が上昇すると、新しく発行される債券の利回りが高くなるため、
投資家にとって魅力的な選択肢
となります。

また、半導体セクターの動向にも注目しており、
2023年7月頃から半導体関連株が天井を打ち、
来年以降の業績下方修正が予想される
と分析しています。

ユルマズ氏の予測の評価

さてここで、
動画内のユルマズ氏の予測が、
どの程度的中したかを評価してみましょう。



1. アメリカの株価上昇予測:〇
 ユルマズ氏の予測通り、アメリカの株価は上昇を続けています。

2. 日本のマネーサプライと株価の関係:〇
 日本のマネーサプライ減少と株価の伸び悩みは、
 ほぼ予測通りの展開となっています。

3. 実体経済と株価の乖離に関する警告:△
 実体経済と株価の乖離は続いていますが、
 大きな調整は今のところ起きていません。

4. トランプ大統領の再選による経済リスク:〇
 トランプ大統領の再選後、
 予測通り新たな経済リスク(対中関税の発動)が生じています。

5. 投資環境の変化(債券投資の魅力向上):〇
 バフェットの債券投資への注目など、
 予測通りの展開となっています。

これらの評価を総合すると、
ユルマズ氏の予測の正解率は約80%と、
高い水準にあると言えるでしょう。

経営指標と今後の見通し

2025年の世界経済成長率は、
国際通貨基金(IMF)の予測によると3.3%と、
2000年から2019年の平均である3.7%を下回る見込み
です。
特に欧州の成長率は弱く、
中国の成長率も低下傾向にあります。



一方、インドは6.5%の成長率が予想されており、
新興国の中では比較的堅調な成長が期待されています。

インフレ率については、
2025年に4.2%、2026年に3.5%まで低下すると予想されています。
先進国の方が新興国よりも、
早くインフレ目標に収束すると見られています。

これらの経済指標を踏まえると、
企業経営においては以下のような戦略が考えられます。

◎グローバル展開の再検討
 成長率の高い新興国市場、
 特にインドなどへの進出や事業強化を検討する。
◎コスト管理の徹底
 インフレ率の低下が予想されるものの、
 依然として高い水準にあるため、
 原材料費や人件費の管理を徹底する。
◎技術革新への投資
 低成長時代を乗り越えるため、
 生産性向上につながる技術革新への投資を積極的に行う。
◎リスク管理の強化
 地政学的リスクや為替リスクなど、
 グローバルな事業展開に伴うリスクの管理を強化する。

また、ユルマズ氏の分析は非常に示唆に富んでいますが、
一方で以下のような点に注意が必要だと考えます。

※マネーサプライと株価の関係
 確かに両者には相関関係がありますが、
 他の要因(例:企業業績、地政学的リスク)も。
 株価に大きな影響を与えます。
※カッパーゴールドレシオの解釈
 この指標は有用ですが、短期的な変動に一喜一憂せず、
 長期的なトレンドを見ることが重要です。
 また、銅や金の価格は投機的な要因でも変動するため、
 過度の依存は避けるべきです。
※政治と経済の関係
 トランプ大統領の政策が経済に与える影響は確かに大きいですが、
 グローバル経済の複雑さを考えると、
 一国の政策だけで全てが決まるわけではありません。
 他の主要国の動向も注視する必要があります。
※投資環境の変化
 債券投資の魅力が増しているという指摘は重要ですが、
 個々の投資家のリスク許容度や投資目標に応じて、
 適切な資産配分を考える必要があります。

結論

ユルマズ氏の分析は非常に興味深く、多くの示唆を与えてくれます。
しかし、経済や金融市場は非常に複雑で、
単一の要因や指標だけで全てを説明することはできません。
我々が経済について学ぶ時は、
ユルマズ氏のような専門家の意見を参考にしつつも、
あくまで自分自身で情報を収集・分析し、
自分自身の考えを作る姿勢を持つ
ことが大切ではないでしょうか。




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