はじめに

最近テレビやネットニュースで
『地政学』というコトバをよく耳にしませんか?
特に投資について調べると、この言葉が頻繁に登場します。
もはや知っていて当たり前!
といったように使われている地政学ですが、
実際のところよく分からないなぁ?
という方も多いのではないでしょうか。
そこで今回、みなさんと一緒に地政学について、
少しずつ掘り下げていこうと思います!
地政学とはなにか

地政学とは地理的要因が国家の政策、国際関係、および力関係に与える影響を研究する学問です。
ロシアによるウクライナ侵攻は、
地政学的な要因が大きく影響しているとされています。
また、中東地域の石油資源をめぐる国際関係も、
地政学的な観点から分析されることが多いです。
さらに東アジアの海域における領有権争いなども、
地政学的な問題の一つと言えるでしょう。
この海域では
中国、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイなどの国々が、
島々や岩礁の領有権を主張し合っています。
各国がこの海域に強い関心を持つ理由は、
豊富な天然資源の存在や、重要な海上交通路としての価値にあります。
では投資にどう関わるのでしょうか?
……という話の前に、
そもそも地政学とはどういう成り立ちで生まれたのか?
なぜ昨今しばしば耳にするようになったのか?
といったことについて、順を追って解説していきましょう。
地政学の歴史

地政学は学問としては比較的歴史が浅く、19世紀末から20世紀初頭にかけて発展しました。
その起源はスウェーデンの政治学者ルドルフ・チェレンが、
1900年代初頭に初めて使用したとされる
『ゲオポリティーク』という言葉にあります。

チェレンは国家を生物のように捉える有機体説を提唱しました。
これは国家を生きた生物にたとえる考え方です。
例えば、国家の領土拡大を生物の成長に、
他国との競争を生存競争になぞらえます。
また、政府を頭脳、経済を循環器系、軍事を免疫系といった具合に、
国家の機能を生物の器官にたとえて説明しようとしました。
この考え方は後にドイツの地理学者、
フリードリヒ・ラッツェルによってさらに発展させられることになります。
彼は国家の拡大を生物の成長過程になぞらえて説明しました。
彼の理論によれば人口増加や経済発展に伴う需要の増大は、
国家が自然と領土を拡大していく原動力となります。
ラッツェルは、この過程を生物が生存のために環境に適応し、
生息域を広げていくのと同様のものだと主張したのです。
当初は学術的な議論の範囲内にとどまってこの『生存圏』の話が、
20世紀に入ると政治的な文脈で解釈されるようになりました。
特に第一次世界大戦後のドイツでは、
ヴェルサイユ条約によって失われた広大な領土、
アルザス・ロレーヌ地方や西プロイセン、ポーゼン等々の土地や、
植民地の回復を正当化する根拠として用いられるようになったのです。
このような流れの中で、ナチス・ドイツは地政学的な理論を用いて、
領土拡大を正当化し、特に東欧への侵攻を進めました。
かつての日本帝国も同様に、
大東亜共栄圏構想を掲げて地政学を理論的根拠とし、
人口増加や資源確保の必要性からアジア諸国への侵略を正当化しました。
日本は「アジアの解放」という名目で、
自らの支配下に置くことを目指したのです。
※筆者の理解、立場としてはこう言ったモノなので、
訳知り顔乃至怒りで真っ赤になった顔で反論されても
( ´_ゝ`)フーンと懐かしいアレで返すしかありません。悪しからず。
なんにせよこのような歴史的経緯から、
第二次世界大戦後に地政学は一時期タブー視されることとなります。
しかし1970年代、アメリカの外交官ヘンリー・キッシンジャーが。
地政学的な視点を再評価し始めます。
キッシンジャーは冷戦下での米ソ対立や中国との関係改善などを、
地政学的な観点から分析し、アメリカの外交戦略に取り入れました。
この再評価により地政学は再び国際関係を理解する上で、
重要な視点であるとして注目されるようになりました。
しかし1980年代以降、国際情勢は大きく変化します。

まずグローバル化により、国家間の経済的つながりが強くなりました。
たとえば多国籍企業の台頭や国際金融市場の発展により、
一国の経済が他国に大きく依存するようになったのです。
また、1989年のベルリンの壁崩壊に象徴される冷戦の終結により、
米ソ二大陣営による世界の分割という単純な図式が崩れました。
代わりに、国連やWTOなどの国際機関の役割が重視されるようになり、
国家間の協調や経済的相互依存が注目されるようになったのです。
これらの変化により、
キッシンジャーらが再評価した地理的要因を重視する、
伝統的な地政学的アプローチだけでは、
新たな国際関係を十分に説明できなくなってきました。
そのため、経済や文化、技術などの要素も含めた、
より複合的な視点が必要とされるようになったのです。
現代における地政学、その重要性
というように、もとをただせば単なるたとえ話であり、
折に触れ注目されては、やはり不適当不十分
イラネ!(゚∀゚)ノ ⌒ ゚ ポィッとされてきたのが地政学です。
( ´_ゝ`)フーン や
イラネ!(゚∀゚)ノ ⌒ ゚ ポィッ こそ、今時使っている人もいないでしょうが……。
しかし、ではなぜ、現在再び地政学が注目されているのでしょうか?
その背景には更なるグローバル化の進展と、国際情勢の複雑化があります。
80年代からさらに進んだ経済のグローバル化により、
むしろ一国の政策が、世界経済全体に影響を与えるようになりました。
他にも新興国の台頭やテクノロジーの発展により、
従来の国際秩序が揺らぎ始めています。
日本において地政学が注目される機会が増えた背景には、
国際関係の複雑化があります。経済面での相互依存関係の深化が、
その主要な要因の一つと言えるでしょう。
具体的には、以下のような変化が挙げられます:
・アジア地域における経済的・政治的力学の変化
・グローバルサプライチェーンの再構築
・エネルギー安全保障の重要性の高まり
・技術革新と国際競争力の関係
例えば2022年に制定された経済安全保障推進法は、
こうした国際環境の変化に対応し、
国際協調の中で経済の安定を図る取り組みの一つです。
このように、日本を取り巻く国際環境の急速な変化により、
地政学的な視点が政策立案や、
企業戦略において重要視されるようになっているのです。
ではこれらの背景を踏まえ、
いよいよ地政学と投資との関係について、
くわしく調べてみることにしましょう。
地政学と投資の関係

現在は地政学的な出来事……
とされる事件の多くが、投資家の判断に大きな影響を与えています。
具体例を見てみましょう。
2023年に世界情勢の不安定さから、
多くの海外投資家が日本株に注目しました。
欧米の投資家たちは中国市場のリスクを避けて、日本株を買い始めたのです。
その結果、2023年の日経平均株価は33年ぶりの高値を記録しました。
国と国の関係が悪化すると、お金の動きにも影響が出ます。
国際通貨基金という世界経済を監視する機関の分析によると、
二つの国の関係が悪くなると、
お互いの国への投資が約15%減少するそうです。
特に投資ファンドは国際関係の変化に敏感です。
ある国の外交政策が不安定になると、
その国への投資を大幅に減らす傾向があります。
つまり国際関係の悪化は投資の減少につながり、
経済にマイナスの影響を与える可能性があるのです。
しかしこうした変化は新たな投資機会も生み出します。
例えば米中対立の影響で、
企業は部品や原料の調達先を一つの国に頼らず、
複数の国に分散させるようになりました。
これを「サプライチェーンの多様化」と呼びます。
その結果、東南アジアの国々への投資が増えています。
また、地球温暖化対策として、
クリーンエネルギー関連の企業へも投資が増えてきているのです。
ここまでで地政学的な視点が、
投資判断に大きな影響を与えているということが、
お判りいただけたのではないでしょうか。
「よっしゃ。オレっちも地政学的に分析して、投資を始めるかぁ!」
という人もいるでしょう。
……いるかな?現実で「オレっち」とか言う人。
しかし……一人称がなんであるかに問わず、
地政学的な分析を投資に活用する際には、様々な注意点が必要となります。
もとい『地政学』という概念そのものに、
注意したほうがいいかもしれません……。
地政学の落とし穴
地政学は投資の指針として魅力的に見えます。
なにしろ何を基準にすべきか?
という視点がハッキリしているのですから。
しかし実際には危険な落とし穴が潜んでいます。
まず地政学的な見方はしばしば、
偏見やステレオタイプを助長します。
これは地政学の成り立ちに起因します。
前述の通り地政学が発展したのは19世紀末から20世紀初頭です。
それ故その根底は当時の帝国主義的な世界観があり、
その影響は現代にもしっかり残っています。
例えば
「中東は常に不安定」
「アフリカは投資リスクが高い」
といった単純化された古い見方は、
現実を正確に反映していません。

実際、UAEのドバイは世界有数の金融センターとなり、
ルワンダはアフリカのシンガポールと呼ばれるほど、
ビジネス環境が整備されています。
このような偏見は人道的な問題を引き起こすだけでなく、
投資判断にも悪影響を及ぼします。
2010年から2012年にかけて中東・北アフリカ諸国で起こった民主化運動、
通称「アラブの春」以降、
多くの投資家が中東への投資をリスクが高いと判断して控えました。
結果としてその投資家達は急成長したUAEや、
サウジアラビアの経済の恩恵を受けられませんでした。
また、地政学的な予測はしばしば外れます。
2016年の英国のEU離脱や2016年の米国大統領選など、
多くの専門家の予測が外れた例があります。
これらの出来事は金融市場に大きな混乱をもたらしました。
さらに地政学的な見方に固執することで、
より重要な経済的・企業的要因を見逃す危険性があります。
例えば、ロシアの政治的リスクばかりに注目して、
ヤンデックスやカスペルスキーといった、
世界的に競争力のあるロシアのIT企業の成長性を、
みすみす見逃してしまったというケースも実在します。
おわりに:地政学の正体とは?
と、ここまで一応は地政学についてお話してきましたが、
正直は話、もとはと言えば単なるたとえ話じゃないか!とは思いませんか。
だから、という訳ではありませんが、
実のところ、地政学には疑似科学=インチキと言われる側面があるのです。

つまり血液型占いの様なものです。
血液型占いを鵜呑みにして、投資でお金を使うなんて
個人的には( ゚д゚)ポカーンとなってしまいます。
血液型占いを信じて何が悪い( ゚Д゚)ゴルァ!!
という方にはもはや通じない話ですが……
(今時通じない古のインターネットの絵文字を使いつつ何ですが)
地政学がインチキでは?とされいる根拠は主に三つあります。
一つ目は科学的検証の難しさです。
地政学の主張は長期的で複雑な国際関係を扱うため、
厳密な検証が困難なのです。
生まれて二世紀の学問……。二世紀とは人一人に取っては膨大ですが、
学問としてはやはり、歴史は浅い方でしょう。
二つ目は過度の単純化です。
前項でいくらか触れました通り、地理的要因のみを重視し、
文化や経済など他の重要な要素を軽視しがちだという批判があります。
単純に言って、差別偏見の類であり、
しかもそれはシンプルに損だ、というのも前項の通りです。
三つ目はイデオロギーへの利用です。
くりかえしますが第二次世界大戦前後、
ナチス・ドイツや日本などが地政学を自国の侵略政策の正当化に利用、
悪用した歴史があるわけです。
こちらとしては悪用と言い切る所存です。
反論のあるかたは話の通じない奴だと諦めてください。
こちらも諦めておりますので。
そもそも第二次大戦より以前、
日本の地理学者・小原敬士は1939年に既に地政学について、
明確に「疑似科学」だとして批判しています。
やはり血液型占いと同じですね。
血液型占いもナチスが人種差別のために作った……
なんて説もあるぐらいですから、
色々繋がったなぁ……と思える部分でもありますが。
なんにせよ地政学は学問としての信頼性に、
古くから疑問が投げかけられているのです。
細かく言及すると更なる諸々の火種となるので何ですが、
疑似科学を過信するのって、アレです。
つまり地政学を過信し過ぎるのもなんというか、アレです。
我々はアレに陥らない注意が必要なのです。
企業の財務状況、業界動向、技術革新の可能性など、
より具体的で検証可能な要素を多面的に重視することが大切です。
そして何より、自分自身の偏見や固定観念を常に疑う姿勢が重要です。
開かれた心で世界を見ることが、
投資の成功だけでなく、より良い社会の実現にもつながるのです。
より良い社会?オレっちには関係ないね!
という人にとっても、より良い社会だと言うことです。
いや、実際オレっちって言う人いるのかな?
普通にオレっちの地方じゃ使ってるぜ!
という人がいたら、頭を床に擦りつけて謝るしかありませんが。
話を横に反らしてしまいました。
なにしろ投資をするというのにはいくらかの山っ気は必要でしょうし、
切っ掛けも欲しい人もいるでしょう。
そういう人の指標としては、たとえデタラメインチキであっても、
地政学は充分役に立つことでしょう。
しかしやはり、地政学は一つの視点に過ぎません。
一つの視点を絶対視せず、批判的に捉える姿勢こそが、
賢明な投資家の道なのではないでしょうか。