最近、ニュースやSNSで「フードバンク」という言葉をよく耳にしますよね。 私も最初はその言葉を聞いたとき、よくわからないという印象を持っていました。

フード=食べ物 バンク=銀行
食べ物の銀行って、なんぞや? 物々交換してくれるなら有り難いが、そうでもなさそうだ。
なになに、”バンクとは、銀行。比喩的に集めて管理・提供する機関”ということは、食べ物を集めて管理・提供する機関ということでよろしいようです。

という言葉の意味合いなどを掘り下げて調べていくうちに、その活動の意義や形態について知り、その取り組みが非常に興味深いものであるということがわかりました。
皆さんは、フードバンクの具体的な活動や形態についてどれくらいご存知でしょうか?今回は、フードバンクがどのように運営されているのか、その多彩なサービス形態について分かりやすく解説します。なるほど!と膝を打ってくださる方は、ぜひコメントをお願いします!
フードバンクとは?
フードバンクとは、食品のロスを削減しつつ、生活に困難を抱える人々や団体に食料を提供する仕組みを差します。

具体的には、食品メーカーやスーパーマーケットなどから、まだ食べられる余剰食品(賞味期限や消費期限は切れていないものの、出荷期限や店頭での陳列期限を過ぎた食品、または通常のルートでは販売できなくなった食品)を集め、それを必要とする人々や施設に届けることで、食料廃棄の問題と生活困窮者(家庭)支援の両方に対応しています。
食品ロスという観点から見ると、日本では年間約522万トン(2022年度推計)の食品が廃棄されています。これは、日本人一人あたり毎日お茶碗約1杯分の食べ物を捨てている計算になります。一方で、食べ物に困っている人がいるという、なんとも矛盾した状況がそこにはあるのです。
私はスーパーでおつとめ品を集められたラックや棚を見た時、(金銭的な理由が大部分を占めますが)率先して品定めをします。みなさんも、所持している財布の中身と、ひと月分の食費とを計算しながら、やりくりしませんか?そして、色々諦めて献立を考え直しながら買い物をしていると想像します。
お肉が食べたい。。。!!!(切実)
肉といえば、タンパク質の補給源として重要なだけでなく、食事の満足感を高める重要な食材ですよね。でも、値段を見るとため息がでる…そんな経験は誰にでもあるのではないでしょうか。実は、こうした「食べたいものが食べられない」という状況が恒常的に続いている家庭が少なくないのです。
しかし、現実にはその切実な願いを自力で叶えることが難しい家庭や人がいるという世の中の事情があるということがわかりました。
私も、ひもじい思いを経験し、いつかは思う通りの献立で、なんなら外食や贅沢三昧で過ごしたい!など願望をかかげ、今も夢を見ている切ない人生。。。
けれど、この日本で、食べるものにも困らない、住む場所にも困らない、世界上位の経済大国で何不自由なく生活ができると言われている環境で、まさか食事で不自由する現実があるなんて、想像できますか?
※2023年9月時点で約15.4%で、約6人に1人が貧困状態にあります。また、子どもの貧困率は2021年に11.5%と低下していますが、それでも9人に1人の子どもが貧困状態にあります。(厚生労働省より)
この数字を見て、何を感じますか?私は最初、「えっ、そんなに?」と驚きました。世界的に見ても先進国である日本で、これほど多くの人が貧困状態にあるということが信じられませんでした。特に子どもの貧困は、将来の可能性を奪ってしまう恐れがあるだけに、より深刻な問題です。栄養不足は成長や学習能力にも影響を及ぼすため、子どもの貧困対策は社会全体で取り組むべき課題なのです。
どうでしょうか。よそ事ではないですよね?
私自身、フードバンクという言葉に出会ったのは、電車の広告でした。なんとなくぼんやり眺めていた視界に入ってきた、フードバンクの文字。 これはなんだろう?どういうことなんだろう?と、ぼんやり考え出したことがきっかけでした。
チコちゃんからお叱りを受けるだめな大人です。(ぼーっと生きてんじゃねーよ!)
検索してみると、私の地域でも活動をしているとわかり、休みの日に訪ねたことがあります。 私は余剰食品を仕分けする作業を手伝ったのですが、そのときに感じたのは、食品ロスの問題がいかに深刻であるかということでした。
作業場には、賞味期限内のレトルト食品や缶詰、お菓子、調味料などが山積みになっていました。それらの多くは包装の一部が破損していたり、商品のリニューアルによって店頭から下げられたものだったりと、食べることに全く問題がないものばかり。スーパーやメーカーの基準ではもう売れないけれど、まだまだ十分に食べられるものが、ここに集まっていたのです。
なんてモッタイナイ!まだまだ食べられるものがこんなに沢山! どうして食べきれないほどの食品が溢れていて、それを食べられない人がいるのか、かなりショックな出来事でした。
そして、思いました。 私たちが普段何気なく捨ててしまう食材が、実は誰かの助けになる可能性があるのだと。
どうでしょうか。みなさんも、そう感じませんか?
そして、フードバンクの活動は地域の事情や運営主体によって形を変え、多岐にわたります。では、その代表的なサービス形態をご紹介しましょう。
1. 直接配布型
まずは「直接配布型」。これは、フードバンクが収集した食品を、直接困窮者に届ける形態です。

特徴: フードバンクが窓口となり、食品を直接提供します。地域住民が各々必要な食料を受け取ることができるよう、食品配布イベントなども開催し、直接手元に届くようにします。
例えば、東京都内のあるフードバンクでは、毎週土曜日に地域の公民館で食品の配布会を開催しています。事前に登録した利用者は、自分の家族構成や必要な食材を申請しておき、当日はそれに基づいて食品を受け取ります。米や野菜、調味料など、バランスの取れた食材を提供するよう配慮されています。
また、別の地域では「フードパントリー」と呼ばれる、食料品の無料配布所を常設しているところもあります。まるでミニスーパーのような雰囲気の中で、必要な食材を選んで持ち帰ることができます。これにより、利用者の「選ぶ自由」が尊重され、尊厳を保ちながら支援を受けることができるのです。
メリット: 支援が最も直接的に行き届くので、支援対象者との信頼関係を築きやすいという点が挙げられます。やはり誰からかわからないよりも支援者の”顔”が見えることで安心感が生まれますよね。
それに、支援をする人と会話をしたり、笑顔を向けられると、それだけで自分はひとりではないと実感できて、気持ちが温かくなりませんか?
私は、実際に直接食べ物をもらっている光景を目にした時、もらった方が笑顔になった様子を見て嬉しかったことを覚えています。ある配布会で、高齢の女性が「最近、肉や魚は高くて買えなかったのよ」と話しながら、配られた食品セットの中の鶏肉パックを見て目を細めていました。その瞬間、食べ物はただの栄養源ではなく、人の心を豊かにするものなのだと実感しました。
直接配布型のもう一つの大きな利点は、利用者のニーズを直接聞き取ることができる点です。アレルギーや宗教上の理由で食べられないものがある方、離乳食が必要な赤ちゃんがいる家庭など、それぞれの状況に合わせたきめ細かな対応ができます。また、食料品だけでなく、時には日用品や子ども用品なども一緒に提供することで、総合的な生活支援につながっているケースもあります。
課題: ただし、配布が集中すると在庫管理や物流が課題となる場合があります。特に、急な需要の増加に対応するための体制が必要です。運搬するにも人や車を動かす必要があるので、簡単にことは運びませんよね。

たとえば、災害時などは通常より多くの人が支援を必要とする状況になりますが、そのような時こそ物資の運搬や配布が難しくなります。また、食品の安全性を確保するための温度管理や衛生管理も重要な課題です。特に夏場は常温で保存できない食品の取り扱いに細心の注意が必要となります。
さらに、十分な量の食品を継続的に確保することも簡単ではありません。季節や時期によって集まる食品の種類や量にばらつきがあり、バランスの取れた食品セットを常に提供することは難しい場合もあります。支援を必要とする人々は年間を通じて存在するのに対し、食品の寄付は年末年始などの特定の時期に集中する傾向があるのです。
こうした課題に対応するため、多くの直接配布型フードバンクでは、食品メーカーや小売店との連携強化、冷蔵・冷凍設備の充実、ボランティアのシフト制導入など、様々な工夫を凝らしています。
2. 間接支援型
次に「間接支援型」。これは、フードバンクが収集した食品を、福祉施設や地域団体に提供する形態です。
困っているのは個人だけではなく、困った人を助ける組織も困っている場合があります。 特に福祉施設や団体はその活動を運営するにも資金がかかりますし、食費の確保も大変ですよね。
児童養護施設や高齢者施設、シングルマザー支援団体、障がい者支援施設など、様々な社会福祉団体が限られた予算の中で運営を続けています。こうした施設や団体に食品を無償で提供することで、彼らの食費負担を軽減し、その分を他の必要なサービスに充てることができるようになります。
特徴: フードバンク自体が食品を配布するのではなく、中間団体を通じて支援を行います。福祉施設や地域団体がそれぞれの利用者に食品を提供します。
例えば、大阪のあるフードバンクでは、集めた食品の約70%を児童養護施設や母子支援施設などに提供しています。各施設は受け取った食品を給食や間食に活用したり、家庭的な雰囲気の中で子どもたちに提供したりしています。施設側は食費の節約ができ、子どもたちはより豊かな食生活を送ることができるという、win-winの関係が成り立っているのです。
また、子ども食堂を運営するNPOにも多くの食品が提供されています。子ども食堂は、単に食事を提供するだけでなく、地域の交流拠点としても機能しており、そこでの活動を食品面から支えることは、地域コミュニティの活性化にもつながっています。
メリット: 既存のネットワークを活用することで、広範囲に効率よく支援できます。また、配布プロセスの負担を軽減できるため、フードバンクの運営がスムーズになります。
間接支援型の大きな利点は、支援団体がすでに持っている専門知識やノウハウを活かせる点です。例えば、精神障がい者支援団体であれば、食品提供だけでなく、メンタルヘルスケアやカウンセリングなど、総合的なサポートが可能です。フードバンクは食品を提供し、各団体はその専門性を活かして支援を行うという役割分担が効果的に機能しています。
さらに、間接支援型では大量の食品を一度に効率よく配布できるため、物流コストの削減にもつながります。例えば、複数の子ども食堂がある地域では、それらをネットワーク化し、一括して食品を届けるという取り組みも始まっています。
課題: 一方で、中間団体の運営や透明性が求められます。私が知っているあるフードバンクでは、定期的に運営状況を公開し、地域の人々に信頼を得る努力をしています。
支援団体と連携する際の課題としては、各団体のニーズをきちんと把握し、必要な食品を適切に分配することが挙げられます。例えば、高齢者施設と児童養護施設では必要とする食品の種類が異なります。また、支援団体側の受け入れ態勢(保管スペースや調理設備など)にも差があるため、きめ細かな対応が求められます。
また、支援の「見える化」も重要な課題です。食品がどのように活用され、誰のもとに届いているのかを明確にすることで、寄付者の信頼を得ることができます。あるフードバンクでは、支援団体からの活動報告書や写真を定期的に集め、ウェブサイトで公開するという取り組みをしています。「あなたの寄付がこのように役立っています」と伝えることで、継続的な支援につながるのです。
3. 学校連携型

最後に「学校連携型」です。これは、学校を通じて子どもたちに食料支援を行う形態です。
子どもの貧困対策として、特に注目されているのがこの形態です。子どもは自分の家庭状況を選べません。親の経済状況によって、栄養状態や健康に差が生じるのは、社会として見過ごせない問題です。
特徴: 学校給食や学童施設を活用して、子どもたちに栄養のある食事を提供します。特に、貧困家庭の子どもに焦点を当てています。
例えば、長期休暇中の学校給食がない期間に、学校の施設を利用して食事提供を行うプログラムがあります。夏休みや冬休みは、普段給食で栄養バランスの取れた食事を摂っていた子どもたちにとって、食生活が不安定になりがちな時期です。そこで、フードバンクと学校が連携し、希望する子どもたちに食事を提供するという取り組みが広がっています。
また、「バックパックプログラム」と呼ばれる活動も始まっています。これは、週末に学校で食事を摂れない子どもたちのために、金曜日に簡単に調理できる食品をバックパックに詰めて持ち帰らせるというものです。外からは普通のバックパックに見えるため、子どものプライバシーも守られるという配慮がされています。
メリット: この形態の大きなメリットは、子どもたちの栄養状態を改善できる点です。学校が支援の場となるため、安心感があります。私も子どもたちに食事を提供するイベントに参加したことがありますが、彼らの笑顔を見ると、支援の意義を強く感じました。
子どもは成長期であり、適切な栄養摂取は健康な発達のために不可欠です。特に、タンパク質やカルシウム、鉄分などの栄養素は、体と脳の発達に重要な役割を果たします。学校連携型フードバンクでは、こうした栄養素を意識した食品提供を心がけているところが多いです。
また、学校という「子どもにとって日常的な場所」で支援を行うことで、スティグマ(恥辱感)を感じさせることなく、自然な形で支援を届けられるというメリットもあります。子どもたちが「支援を受けている」という意識をなるべく持たないよう、様々な工夫がなされているのです。
課題: ただし、学校側の協力体制や運営の工夫が必要です。また、子どもたちのプライバシーを守る配慮が欠かせません。最近では、学校とフードバンクが連携して、より多くの子どもたちに支援を届ける取り組みが進んでいます。
たとえば、どの子どもが支援を受けているかを他の子どもたちに知られないようにする配慮は特に重要です。ある学校では、放課後に全ての子どもたちが参加できる「食育クラブ」を設け、その中で食品の提供を行うという形をとっています。こうすることで、支援が必要な子どもだけを分けることなく、自然な形で食品を届けることができます。
また、学校の教職員に過度な負担をかけないような仕組みづくりも課題です。教職員はすでに多忙であり、新たな業務が加わることで負担が増えないよう、フードバンク側のスタッフやボランティアが積極的に関わることが求められます。
さらに、子どもだけでなく家庭全体の食の安定を図ることも重要です。そのため、学校を通じて家庭向けの食品提供も行われるようになってきました。保護者会や学校行事の際に、希望する家庭に食品パックを配布するなどの取り組みが始まっています。
これらの形態は、フードバンクの柔軟性を示しています。それぞれが対象とする人々や目的に応じて、活動内容が異なるのです。私たちがフードバンクの活動を知ることで、どのように支援できるかを考えるきっかけになるかもしれません。
体験談例:
「作業場で、まだ食べられるのに廃棄される予定だった大量の野菜を見たとき、衝撃を受けました。形が少し悪いだけで、味や品質には全く問題がないものがたくさんありました。私たちは、もっと食品を大切にする必要があると強く感じました。」
まとめ
フードバンクは、ただ食料を分け与えるだけではありません。それは、食品ロスの削減や地域コミュニティの強化といった幅広い意義を持つ活動です。本記事で紹介した直接配布型、間接支援型、学校連携型の仕組みがどのように運営されているかを知ることで、私たちもその活動を支援したり参加したりするきっかけになるかもしれません。
私自身、フードバンクの活動に関わることで、「食」という基本的なものがどれだけ人々の生活を支えているかを実感しました。余った食品を捨てるのではなく、必要としている人に届けるという単純なアイデアが、これほど多くの人を助け、社会問題の解決に貢献できるのは素晴らしいことだと思います。
次回の後編では、さらに別のサービス形態とその特徴、そしてフードバンクを支えるために私たちができることについてお話しします。フードバンクの多彩な活動を知ることで、私たち自身がその一部となり、より良い社会の実現に向けた一歩を踏み出せるかもしれません。後編をどうぞお楽しみに!
参照:
全国フードバンク推進協議会:
https://www.fb-kyougikai.net/foodbank
フードバンク – 農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/foodbank.html