1. コインチェック公式X乗っ取り事件――その全貌と教訓
2025年4月28日、国内大手の仮想通貨取引所「コインチェック」の公式X(旧ツイッター)アカウントが第三者によって不正ログインされる事件が発生しました。不正ログイン後、アカウントからはフィッシングサイト(偽サイト)へのリンクが投稿され、ダイレクトメッセージ(DM)でも不審なURLが送信されるなど、多くのユーザーが混乱しました。

コインチェックは被害拡大を防ぐため、全サービスを一時停止し、徹底した調査と安全確認を実施。幸いにも、取引所の基幹システムや顧客資産には直接的な被害はありませんでした。
しかし、「SNSアカウントの乗っ取り」や「フィッシング詐欺」が、仮想通貨利用者にとっても現実的なリスクであることが改めて浮き彫りになりました。
この事件は、仮想通貨に関わる人だけでなく、SNSを利用するすべての人にとって「自分ごと」として考えるべき警鐘となりました。SNSのアカウントは、もはや単なる情報発信の場ではなく、資産や信用を守るための“セキュリティの最前線”でもあるのです。
2. 仮想通貨は本当に安全?――身近になったからこそ知っておきたいリスク
仮想通貨は、銀行を介さずに世界中へ瞬時に送金できるなど便利な技術ですが、ハッキング・詐欺・内部不正・SNS乗っ取りなど、さまざまなリスクがつきまといます。
特に仮想通貨は「自己責任」での管理が基本。銀行のような預金保険制度がなく、万が一資産が盗まれても補償されない場合もあります。そのため、個人のセキュリティ意識が最終的な資産保護のカギとなります。
SNSを起点とした新たなサイバー攻撃
仮想通貨の普及とともに、X(旧Twitter)やInstagram、DiscordといったSNSを悪用したサイバー攻撃が増加中です。たとえばNFT関連プロジェクトの公式アカウントが乗っ取られ、偽ミント(購入)サイトに誘導される事件も多発。近年ではAIによるなりすまし動画や音声を使った詐欺も登場しており、「本人そっくり」の動画で投資を勧める手口まで現れています。
セキュリティ意識を高めるには
「自分は大丈夫」と思い込むのが一番危険です。SNSやメールで届く“お得な話”や“限定キャンペーン”には必ず裏があると考え、少しでも違和感を覚えたら一度立ち止まる冷静さが大切です。
また、仮想通貨の世界は日進月歩。昨日までの常識が今日には通用しなくなることもあります。情報感度を高め、定期的にセキュリティに関するニュースやガイドラインをチェックしましょう。
3. 歴史に残る大規模事件から学ぶ仮想通貨のリスク
| 順位 | 事件名 | 発生年・国 | 被害額(約) | 原因・特徴 |
| 1 | FTX破綻 | 2022年・海外 | 約1兆6600億円 | 経営破綻・資金の不正流用 |
| 2 | Mt. Gox事件 | 2014年・日本 | 約470〜662億円 | システム不備と不正流出 |
| 3 | Coincheck事件 | 2018年・日本 | 約580億円 | ホットウォレットの管理不備 |
| 4 | DMMビットコイン事件 | 2024年・日本 | 約480億円 | 秘密鍵の流出が疑われる |
| 5 | Wormhole事件 | 2022年・海外 | 約460億円 | ブロックチェーンの脆弱性 |
代表的な事件を深掘り
- FTX事件
世界第2位の仮想通貨取引所FTXが経営破綻。創業者が顧客資産を不正に流用し、詐欺罪で禁錮25年の実刑判決。ハッキングされなくても運営者の不正で資産が失われることがあると証明されました。 - Coincheck事件
2018年、コインチェックから約580億円分のNEMが不正流出。主因はホットウォレットの脆弱な管理。事件後、マネックスグループによる買収や金融庁登録で体制強化が進みましたが、2025年にも新たな逮捕者が出るなど余波は続いています。 - DMMビットコイン事件
2024年、国内取引所DMMビットコインから480億円相当のビットコインが不正流出。秘密鍵の漏洩が疑われ、セキュリティ体制の見直しが求められています。 - Mt. Gox事件
世界最大級のビットコイン取引所だったMt. Goxが破綻。消失額は470〜662億円とされ、仮想通貨業界の信用を大きく損ないました。これを契機に日本では金融庁の監督が強化され、交換業者の登録制が導入されました。 - Wormhole事件
クロスチェーン技術を提供するWormholeで、コードの脆弱性を突かれて約460億円相当が流出。新技術の利便性とリスクの両面を象徴する事件です。

事件の“その後”にも注目しよう
大規模事件の後、取引所や業界はどのような対策を講じてきたのでしょうか?
たとえばCoincheck事件後は、マネックスグループによる再建や、金融庁の厳格な監督体制の導入、顧客資産の分別管理の徹底などが進みました。Mt. Gox事件以降は、仮想通貨交換業者の登録制や、犯罪収益移転防止法なども強化されています。
4. SNS乗っ取り・フィッシング詐欺の実例と対策
SNS乗っ取りによる詐欺は「見た目は公式そのもの」という巧妙さがあります。コインチェックのXアカウント乗っ取り時も、投稿された偽リンクは一見すると正規のキャンペーンに見えました。
フィッシング詐欺に引っかかると、ウォレットの秘密鍵やフレーズを盗まれ、仮想通貨がすべて抜き取られてしまう恐れがあります。一度盗まれると、その後の追跡や回収は極めて困難です。
具体的な詐欺の手口
- 「限定エアドロップ」や「特別キャンペーン」と称して、偽サイトに誘導
- 正規のサポートを装い、秘密鍵やリカバリーフレーズの入力を促す
- AIを使った“なりすまし”動画で有名人や運営者を装い、投資を勧誘
うっかり引っかからないための心構え
- 「公式」を名乗るアカウントでも、内容やURLを必ず確認
- SNSやメールで届いたリンクは、公式サイトからアクセスし直す
- 怪しいDMやコメントは無視し、必要ならブロックや通報
5. 6つの基本的なセキュリティ対策
- 信頼できる取引所を選ぶ
金融庁登録状況やセキュリティ体制、過去の事件対応などをチェックしましょう。 - パスワードの強化
定期的な変更(2週間〜1ヶ月ごと推奨)、使い回しの回避、複雑な組み合わせを心がけましょう。 - 多要素認証(MFA)の設定
生体認証や専用アプリを併用すると安全性がさらに高まります。 - ウォレット管理の徹底
ハードウェアウォレットや分散管理を活用し、スマホとパソコンにまたがって保管しないようにしましょう。 - マルウェア・フィッシング対策
最新のウイルス対策ソフトを導入し、不審なリンクやメールは開かず、公式サイトのURLを必ず確認しましょう。 - VPNの利用
公衆Wi-Fiでは常にVPNをオンにし、ログを取らない信頼性の高いサービスを選びましょう。

さらにできること
- 資産の分散管理
取引所、ハードウェアウォレット、ソフトウェアウォレットなど、複数の方法で保管することでリスクを分散できます。 - バックアップの徹底
ウォレットのリカバリーフレーズや秘密鍵は紙に書いて安全な場所に保管。スマホやパソコンだけに頼らないことが大切です。 - 家族や信頼できる人と情報共有
万が一自分に何かあったときのために、最低限の情報を信頼できる家族やパートナーと共有しておくと安心です。
6. 日常生活でできるセキュリティ習慣
仮想通貨のセキュリティ対策というと難しく感じるかもしれませんが、実は普段の生活の中で無理なくできることもたくさんあります。
たとえば、スマートフォンやパソコンのOSやアプリを常に最新バージョンに保つことも大切な防御策です。アップデートにはセキュリティの穴をふさぐ修正が含まれていることが多いので、面倒でも「後でやろう」と思わず、通知が来たらすぐに実行しましょう。
また、SNSやメールで「ちょっと怪しいな」と思ったら、すぐに家族や友人に相談するのも有効です。自分ひとりで判断せず、周囲と情報を共有することで、被害の連鎖を防ぐことができます。
さらに、仮想通貨の取引やウォレットの操作は、できるだけ自宅など安全なネットワーク環境で行いましょう。カフェや駅など公共Wi-Fiを使う場合は、必ずVPNを利用して通信を守ってください。
7. 未来に向けたセキュリティの進化と私たちの役割

仮想通貨市場は今後さらに多様化・高度化していくと予想されます。それに伴い、サイバー攻撃の手口も複雑化し、AIやディープフェイクを活用した詐欺も増加中です。たとえば、有名人になりすました動画で投資を勧めるケースも登場しています。
こうした新しい詐欺に対抗するには、個人だけでなく業界全体での情報共有や、政府によるガイドライン整備、プラットフォーム側の対策が不可欠です。
一方で、個人でもできる対策は確実に存在します。
常に最新の情報を追い、信頼できるニュースやセキュリティ情報をチェックする習慣をつけましょう。「知らなかった」は通用しません。知識と対策の有無が被害を分ける分岐点になります。
セキュリティ意識を高めるための習慣
- 月に一度は「仮想通貨 ハッキング」「フィッシング詐欺」などで最新情報を検索
- SNSで信頼できるセキュリティ専門家や公式アカウントをフォロー
- 仮想通貨に関する勉強会やウェビナーに参加し、最新の手口や対策を学ぶ
- 家族や友人にも「詐欺に注意して」と声をかけ合う
8. よくあるQ&A:仮想通貨のセキュリティで迷いやすい疑問
Q1:仮想通貨ウォレットはどれを使えばいい?
初心者にはハードウェアウォレットや信頼性のある取引所のウォレットが安心です。
Q2:SNSの公式アカウントが本物かどうか、どうやって見分ける?
認証バッジだけでなく、URLやドメインを必ず確認しましょう。公式サイトからSNSリンクへアクセスするのが確実です。
Q3:少額の仮想通貨でも狙われる?
はい。初心者や少額保有者も標的になりやすいので、油断は禁物です。
Q4:家族や友人にも仮想通貨のリスクを伝えたい。どうすれば?
難しい専門用語を避け、具体的な詐欺の事例やニュースを一緒に見ながら話すのが効果的です。「自分は大丈夫」と思っている人ほど、被害に遭いやすいので、身近な人同士で注意を促し合いましょう。
9. 国内外の規制の動きとユーザーの責任

日本では金融庁の監督体制が確立され、仮想通貨交換業者は登録制となっています。一方、海外では国によって規制の強さにばらつきがあるため、グローバルに仮想通貨を使う際はその国の法制度も調べましょう。
ただし、どんなに制度が整っていても最終的に資産を守るのは「あなた自身」です。取引所の監督体制が強化されていても、フィッシングメールを開いてしまえば意味がありません。制度と自己防衛、この両輪が揃ってこそ、真のセキュリティが成立します。
もし被害に遭ったら
- すぐに取引所やウォレットのサポートに連絡
- SNSやメールアカウントのパスワード変更
- 警察や消費者センターにも相談
- 被害内容や経緯を記録しておく
被害を最小限に抑えるためにも、普段から「もしもの時の連絡先」や「資産管理のメモ」を用意しておくと安心です。
10. 今後の仮想通貨の展望と心構え
仮想通貨はこれからも進化を続け、私たちの生活や社会にますます身近な存在となっていくでしょう。
たとえば、デジタル通貨を使った新しい送金サービスや、NFTやWeb3といった新たな経済圏も広がっています。
一方で、技術が進歩するほどサイバー攻撃や詐欺の手口も巧妙化します。AIやIoT、メタバースなど、仮想通貨と連動した新しいサービスが増えれば増えるほど、私たち一人ひとりのセキュリティ意識が問われる時代になります。
これから仮想通貨を始める人も、すでに使っている人も、「自分の資産を守るのは自分」という意識を忘れず、日々のちょっとした注意や習慣を積み重ねていきましょう。
難しく考えすぎず、「まずは知ること・調べること・相談すること」から始めてみてください。
11. まとめ:安心して仮想通貨を楽しむために
仮想通貨は、正しい知識と備えがあれば、非常に便利で未来を感じさせるテクノロジーです。
リスクを恐れて遠ざかるよりも、リスクを知り、しっかり備えることで、安心して新しい世界を楽しむことができます。
自分の資産を守る力を身につけ、家族や友人とも情報を共有しながら、仮想通貨のある暮らしを前向きに楽しんでいきましょう。
今日からできる小さな一歩が、あなたの大切な資産と未来を守る大きな力になります。

参考文献リスト
- Coin Desk JAPAN
https://www.coindeskjapan.com/learn/coincheck-incident/
- BBC NEWS JAPAN
https://www.bbc.com/japanese/articles/c970rpzzvq8o
- 野村総合研究所セキュリティブログ
https://www.nri-secure.co.jp/blog/cstar2018_cryptocurrency-mining - カスペルスキー公式サイト
https://www.kaspersky.co.jp/resource-center/preemptive-safety/strengthen-cryptocurrency-security - IBM Japan公式サイト
https://www.ibm.com/jp-ja/topics/blockchain-security - 情報処理学会論文誌
https://www.ipsj.or.jp/dp/contents/publication/39/S1003-S06.html - カスペルスキー公式サイト
https://www.kaspersky.co.jp/resource-center/definitions/what-is-cryptocurrency - ニュートンコンサルティング
https://www.newton-consulting.co.jp/itilnavi/flash/id=2773 - トレンドマイクロ公式ブログ
https://blog.trendmicro.co.jp/archives/15413 - ACT1コラム
https://act1.co.jp/column/0288-2/